李登輝前総統、中国の野心を憂慮 「両岸和平は虚像」

2011/01/05
更新: 2011/01/05

【大紀元日本1月5日】台北市で3日、李登輝台湾総統の90歳(数え年)を祝うパーティが市内のホテルで開かれた。李氏はスピーチの中で、現在の台湾は、経済においては中国市場の罠にはめられており、政治においては民主主義から(全体主義へ)逆戻りしていると指摘した。また、貧富の格差が拡大し、人々は粗暴になり、台湾全体が方向を失っていると語り、中国共産党の台湾統制の野心がいっそう顕著になっていることを最も憂慮すべきであるとし、「両岸和平」はただの虚像にすぎないと批判した。

台湾立法院長・王金平氏、台湾団結聯盟(台聯党)・黄昆輝党首、許水徳前考試院(台湾の公務員の人事に関する最高行政機関)院長らが3日夜に催した、台北市華泰プリンスホテルでの李氏の90歳を祝うパーティには、台湾各界から300人が参加した。政界からは各党の代表が参加したが、馬英九総統、蕭萬長副総統および連戦・国民党名誉主席は招待されなかった。

李登輝氏はスピーチで、自らは戦乱の時代に生まれ、軍国統治、戦争を経験し、戦後の廃墟から立ち上がった人々の姿や、経済発展で築かれた富が貪欲をもたらした現実もすべて見てきたと語った。さらに、1947年に起きた国民党政府による民衆への発砲事件である228事件と、その後38年間続いた戒厳令も経験し、自由を奪われた人々がうろたえる姿を知っているからこそ、言論・思想の自由を主張し台湾の民主化に力を注いできたと述べた。しかし、今日の台湾は表面的には民主化されており経済も発展しているが、人々が幸せに暮らしていないことを最も懸念していると話した。

台湾の運命を変える有能な人材が現れることを人々は期待しているが、強者の時代はすでに去っている、と李氏は語り、21世紀は平民の時代であり、インターネットが人と人のつながりを変えたように、民衆と政府の関係をも変えて行くと論じた。人々が政府に対して信頼を失った時、それらの人々が政府をリードする時代になると李氏は強調した。

さらに、李氏は、他人のために働くという価値観をもって貪欲に対抗し、愛の力をもって暴力に対抗し、人権・自由をもって集権に対抗し、分かち合いの精神をもって略奪式の経済モデルに対抗すべきだと主張した。「台湾の希望は人民にあり、台湾を変える力は道徳と奉仕にある」とスピーチを結んだ。

(翻訳編集・豊山)
関連特集: