中国は米防衛産業への「重大リスク」、米国防総省が警告

2018/10/05
更新: 2018/10/05

[ワシントン 4日 ロイター] – 米軍にとって重要度の高い物資の供給において中国が「重大かつ高まりつつあるリスク」になっていると考えられていることが、米国防総省が主導してまとめた報告書によって明らかになった。ロイターが4日に報告書の内容を確認した。

150ページ近くにわたる報告書は5日に正式に公表される。報告書は、米軍に必要不可欠な材料・部品に影響を与え得る脆弱性が300近くあると結論付けている。

ロイターは、米国防総省が主導して実施した調査の結果について最初に報じており、米軍が重要部品の調達で中国をはじめとする諸外国に依存している事例が多くあることが明らかになっている。

今回の報告書には、重要度の高い業種での直接投資引き上げなど、米産業を強化するための複数の提言が含まれた。具体策は機密扱いの補足資料に含まれている。

報告書は、米軍で利用されている重要なレアアース(希土類)の世界的な供給を中国が独占していることや、特定の電子製品や米軍の武器で使われる化学物質における中国の国際的な地位に触れるなど、中国に焦点を当てる内容となっている。

報告書は「米国の国家安全保障にとって戦略性があり重要と見なされている材料や技術の供給に対して、中国が重大かつ高まりつつあるリスクになっているというのが主要な結論だ」とした。

報告書は米産業の脆弱性の要因となっている米国側の欠点にも言及。変動の激しい国防予算が企業に政府需要の予測を困難にしているなどの例を挙げた。

防衛コンサルタントのローレン・トンプソン氏は文書で「報告書の分析によって市場が動く可能性は低いが、国内外の要因で引き起こされた米産業の衰退について警鐘を鳴らす内容」とした。

米政権の高官は匿名を条件に記者団に、米軍の調達を強化するための新たな措置について説明。希少物資の備蓄やリチウム海水電池などの重要物資の国内生産能力の引き上げが含まれるという。

報告書によると、世界のプリント基板の90%はアジアで製造されており、その半分以上を中国が占めている。

「高度な基板生産の海外シフトによって(国防総省は)利用する製品の原産地を把握できなくなるリスクがある」と指摘。

同省は従来より、電子回路の内部にあるトランジスタに「キル・スイッチ」と呼ばれる停止機能を埋め込むことで、紛争の際に米国の重要なシステムを停止することが可能になるリスクについて懸念を示してきた。報告書は「『トロイの木馬』チップやウイルスが米防衛システムに潜入するリスク」にも触れている。

Reuters
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