中国の中流階級が崩壊 大量解雇の時代に突入 不安感広まる

2024/01/18
更新: 2024/01/18

中国の富裕層でさえ結婚する余裕がない。高級車、高級時計、ピアノは売れなくなっている。多くの元企業幹部が解雇され、家族に内緒で出勤したふりをして図書館で過ごしている。こうした一連の現象に対し、専門家たちは、中流階級の人生設計が崩れ、中国は乱世の状態に陥っていると指摘した。

中流階級の陥落 乱世の前触れ

2023年、中国ではピアノの販売台数は、平均的にピーク時の15%にまで落ち込んで、多くのピアノショップが廃業へ追い込まれている。個人レッスンを請け負っていたピアノ教師も、職を失った。業界関係者は、これが近年の中間層の収入減に関係していると明言した。

また、多くの元企業幹部が解雇された後、家にいると家族に心配をかけてしまうため、仕事に行くふりをして図書館に来ている。

こうした現象がネット上で話題になっている。

元中国資産運用会社のチーフ・コンプライアンス・オフィサーである梁少華氏は1月17日、エポック・タイムズの取材に応じた。

景気後退で、民間企業の大規模な倒産、国有企業の不振、外資の撤退など、多岐にわたる分野が影響を受けている。これらの問題は最初に社会の下層、特に不動産業界の労働者に影響を及ぼし、不動産部門の川上・川下企業や対外貿易部門の中間企業が不振、閉鎖に追い込まれ、その後中流階層に波及した。

改革開放の数十年間に、中国の中流階級は主に不動産の購入・投資を通じて財を蓄積した。経済の崩壊は、彼らの収入源の減少、資産価値の大幅な下落、取引の流動性の喪失につながる。中流階級はジレンマに陥っている。

「消費の大部分は中流階級によるもので、上流階級は1%にも満たないごく少数派だ。だから、ピアノも時計も骨董品市場も全部崩壊する。乱世では、米ドルと金だけが持ちこたえるかもしれない」

経済学者:中国は大量解雇の時代に突入

マクロ経済学者の呉嘉隆氏によると、中流階級の衰退という現象が、過去に米国や日本でも起こった。主要な原因は、就業機会の海外移転と中流階級の解雇。しかし、中国の状況は異なっている。

「問題は、中国で新たな雇用が創出されていないことだ。 重要なのは雇用の消滅ではなく、新たな雇用の欠如だ。外国資本は中国に入ってこない。中国の外国企業が撤退しているため、就業機会の創出は国内企業に依存している」

中国企業が創出した雇用機会が、外資系企業の解雇をカバーしきれない。中国は完全に大量解雇の時代に入ったと言う人もいるが、その通りだと指摘した。

全般的な景気低迷の結果、地方政府の財政が逼迫している。裕福な広東省でも、公務員の給与未払いというニュースがインターネット上で流れている。

経済崩壊進行中

中共(中国共産党)統計局は1月17日、昨年のGDP成長率が、公式目標の5%を上回る5.2%に達成したと発表したが、広く疑問視されている。

ネットユーザーたちは、「企業が労働者を解雇し、失業者が増加し、所得が減少し、消費が減少し、人口が減少し、輸出と貿易が減少し、不動産開発会社の債務不履行が増加し、株式市場が急落しているのに、GDP成長率は5.2%。統計局は大きく貢献した」と皮肉を言った。

呉嘉隆氏は、中国の貯蓄率が現在高く、消費が低いという状況は、未来に対する不確実性を人々が感じていることを示していると語った。人々が将来の財政的な不安、特に医療費用に対する懸念から、予防的な貯蓄を増やしていると指摘した。

「このような現象は通常、経済後退時にのみ見られるもので、現在中国で観察されている。GDP成長率5.2%とか何とか言っても、中共自身さえ信じていない。 無意味だ」

寧海鐘
中国語大紀元の記者。
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。
関連特集: 中国経済