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国民の財産を奪う中国共産党の本性

2025/08/31
更新: 2025/08/31

2024年4月、中華民国(台湾)立法院の議員代表団が中国・北京を訪問し、中国共産党全国政治協商会議主席・王滬寧と会談した。会談の結果、大陸主要都市30と台湾を結ぶ直航便の整備、および4つの直轄都市(北京、上海、重慶、天津)を含む20の人口密集都市でのオンライン台湾ビザ申請のスタートを決定した。

しかし、台湾ではいまだに多くの人々が中国共産党(中共)の本性を知らず、その最低限の理解すら欠けている。

専門家は、武力統一にせよ、スパイや賄賂といった手段(統一戦線工作)にせよ、中共が中華民国を滅ぼそうとする歴史が再び台湾で繰り返されていると指摘する。約70年前、中共は同じ手法で大陸を乗っ取り、共産主義の本陣として中華民族および人類に大きな災難をもたらした。

今や、中共は台湾収奪のための5つのステップを準備している。すでにインフルエンサーの中にも、台湾で革命の旗を掲げ、「台湾人を中(共)国人に変える」と大胆な発言をした者がいる。

共産主義が台湾をも飲み込まないことを願うばかりだ。中共による浸透工作を防ぐには、共産党の本性を暴き、多くの人に中共が普通の政権ではなく、国家の顔をした裏社会の組織であることを知ってもらうほかない。

中共統治下で財産権は存在しない

中国共産党の体制下では、私有財産は常に「共産化(国有化)」される危険に晒されている。これから、人々が直面している現実を、実例とともにお話しする。

著名な経済評論家で作家の印和闐氏が近頃、2009年に夫婦2人で経験したできごとを自身のSNSコミュニティに投稿した。当時、台北で住宅を購入するため中国のとある国営銀行から国外送金をしようとした時、トラブルに遭遇した。

印和闐氏は銀行窓口で送金依頼書と身分証を提示したが、送金を拒否された。理由は、「以前香港から中国に送金したお金を中国国外に送金することはできない」というものだった。印和闐氏の妻は、「ありえない! 中国大陸に送金した金額だけ国外に送金できるって言ってたのに。きっとあちら側のミスに違いない。中小規模の銀行ならまだしも、全国的な国営銀行でしょ? 間違えるわけないわ」と納得がいかなかった。

印氏夫妻が銀行のホームページで確認したところ、やはり送金は可能という規定だった。そこで、当該ページを印刷し、翌日再び窓口を訪れた。すると、ベテランの銀行員が顔を歪めながら歩いてきて「昨日ダメだって言ったのに、また来たのか」と言い放った。

奥様は印刷したものを提示して「すみません。ただこのページで記載されてる内容では…」と話すと、銀行員は「もう改訂した」と妻の話を断ち切った。印氏夫妻は「はい?」と声を合わせて戸惑った。

銀行員は勝ち誇った顔で夫妻を指差しながら「あなたが昨日ここで騒いでたから、特別に規定を1つ増やした!」と咎めた。夫妻がポカンと立ち尽くしていると、ベテラン銀行員が別の銀行員から書類を受け取り、得意げに「ほら!ここに、昨日わざわざ(規定を)追加した・・・あなたたちがうちの口座に振り込んだお金を国外送金する際は、あの条件(入金した同額を出金できる)は適用されない」

結局、印氏夫妻は偽りの現実に打ち負かされ、怒りも収まらぬ間にレストランへ向かった。「本当に信じられない」「わざわざ私たちのために新しく規定を加えるなんて。こんな特別な体験、記念のバッジでももらいたい気分よ。祝杯をあげずにはいられないわ。中国の銀行限定、栄誉あるオーダーメイドの特別規定なんてね」

ネットユーザーのコメントも鮮やかだ。「私も上海浦東発展銀行を利用した際、十数年前の送金伝票を提出しないと国外送金ができないと言われた。でも幸い残額はわずかだったので、海外からATM引き出しですぐに解決できた」「私有財産の保証がない国にいる限り、政府にお金を奪われる心理的な用意が必要だ」「ほらみてみろ。中(共)国がどれだけ発展しようと、朝令暮改だ」

中国で預金の引き出しが難しいのは、決して個別のケースではない。大紀元エポックタイムズの姉妹メディア「新唐人テレビ」の報道によると、2024年6月、吉林省のある銀行が顧客に対し2万元(約40万円)を引き出すために、管轄の派出所による審査を求めた。青島のある男性は、自身の口座からお金を引き出そうとしたところ、窓口で口座預金の資金源を証明するよう要求された。

瀋陽のある女性は5千元を引き出そうとした際、夫の同伴を求められたとして、ネットで話題を集めた。河北省・邢台市の女性は、夫の入院費用を用意するために夫の預金口座から2.5万元引き出そうとしたところ、銀行支店長による長時間の取調べに遭った。

このような不可解なできごとが示すのは、中共体制下において、社会全体が法治および契約の精神に著しく乏しいということだ。これは、普通の民主主義国家に暮らす人々にとって想像し難いものである。

お金が消え、人も消える

預金の引き出しが難しいだけではない。汗水流して稼いだお金を銀行に預けたのに、ある日突然口座を凍結され、お金を引き出せなくなる。極め付けは、1銭も返ってこないかもしれない上に、街へ出て抗議した人が警察や見知らぬ人に殴打されることだ。

その常軌を逸するできごとが、2022年に中国の河南省で起きた。

2022年4月、河南省の少なくとも4つの農村銀行で預金引き出し不可となる事態が発生した。少なくとも40万の顧客が被害を受け、被害総額は400億元(約8千億円)に上った。どの銀行も高利息が魅力的で、他の省からも多くの顧客が貯蓄口座を開設していた。ロイターは当時、「農村銀行スキャンダル」として報じた。

被害を受けたとある経営者Peter氏(仮名)は、600万ドル(約8.8億円)の預金を一瞬にして失い、倒産寸前だったという。

台湾のビジネス誌「商業周刊」の報道によれば、河南省の農村銀行で預金が凍結された原因として、背後に詐欺行為が関与していたと見られる。各銀行の親会社である河南新財富集団が内外の関係者で結託し、第3者プラットフォームや投資仲介業者を利用した違法な資金調達を行っていた。

預金者ははじめ通常ルートで救済を求めたが、政府は数か月間対応措置をとらなかった。また、河南省の市民らが街で抗議デモを行おうとしたところ、新型コロナウイルスへの感染有無を示す「健康コード」が未感染の緑色から感染済みの赤色に変化した。強制隔離、外出禁止、政府による厳格な監視を受けた市民は、怒りが爆発した。

被害者の1人である李氏は、「鄭州(省都)へ抗議に向かった顧客は、ホテルに宿泊するだけで居場所を特定された。最初は当局の職員に別の場所へ移るよう言われ、移った先の場所で行動を制限された」と語った。

事件発生から3年が経過した今でも、預金50万元(約1千万円)以上の大口顧客の中には預金を取り戻せていない者がいる。このまま預金が永遠に消え去る可能性も高い。

預金が消えた以上に恐ろしいのは、「人」が消えたことだ。2024年現在、預金救済を主張した顧客のうち未だ「行方不明」の者がいる。ロイターの報道によると、湖南省・長沙市のビジネスマン欧揚運氏は河南省の農村銀行に持っていた預金を凍結され、2024年2月に抗議活動を行ったところ、自身を含む数人の抗議者とともに警察に連れ去られ、音信不通となった。

結語

これらの恐ろしい事件は中国大陸で暮らさない人々にとって信じ難いものだろう。しかし、中国共産党の本性は我々が想像する何倍も恐ろしく邪悪だ。中国人に言わせると、中共による統治は「想像できるものはなく、彼らにできないことはない」という。

親中共の台湾政府要人やインフルエンサーに対しては、一時的な名誉や利益のために道を間違えないことを心から願っている。それは中共によって甘くコーティングされた毒薬だ。歴史を振り返れば、中共は躊躇うことなく味方を裏切る。今日の友は、明日の敵だ。

中共には、孔子の言っていた「温和、善良、恭敬、倹約、謙虚」などは一切なく、その行いに倫理的な限界や道徳原則は存在しない。用済みとなれば一瞬で切り捨てられる。あるいは、じわじわと追い込まれ、依存を断ち切れない状況に陥る。一度そうなれば、残りの人生を後悔の中で過ごすほかない。

幸せで心身ともに安泰な生活を送りたいのなら、中共から遠ざかることだ。

(筆者・李靖宇は中国の政治文化、社会文化および経済発展を専門とするコラムニスト。台湾大学で社会学士、政治学修士を取得)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
李靖宇
台湾大学で社会学士、政治学修士を取得。中国の政治文化、社会文化および経済発展を専門とするコラムニスト。