アメリカの投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」はフジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(HD)に対し、日枝久取締役相談役(87)の辞任を求める書簡を送付した。2025年2月4日、同ファンドのウェブサイト上で発表した。同ファンドは「40年近く続く経営陣の独裁的支配が企業統治の欠陥を生んだ」と批判している。
「ダルトン・インベストメンツ」はフジ・メディアHDの株式を7%以上保有する「物言う株主」として知られる。今回の書簡で「港浩一前社長と嘉納修治前会長の辞任だけでは不十分」と指摘し、「スポンサーと視聴者の信頼回復には日枝氏の退任が不可欠」と主張した。
問題の発端は2024年12月、元タレントの中居正広氏(52)の女性トラブル報道に端を発したフジテレビの対応不備にある。同社は当初「社員関与なし」と説明したが、情報開示の遅れや記者会見の不手際が批判を招き、主要スポンサー20社以上がCM撤退に踏み切った。
ダルトン側は「取締役会の過半数を独立社外取締役で構成すべき」と要求。特に日枝氏が1980年代から経営中枢に居続ける状況を「1人の独裁者が巨大メディアを支配する異常事態」と痛烈に批判した。
フジ・メディアHDのコーポレートガバナンス規定では「社外取締役による監査体制」をうたっている。
これに対しフジ・メディアHDは1月29日、社外取締役7人全員が連名で「ガバナンス改革の緊急提言」を公表。第三者委員会による調査と並行して経営刷新チームを設置する方針を示している。しかし日枝氏の去就については依然として明確な見解を示していない。
フジテレビの事例が他局のガバナンス改革につながる可能性もある。
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