厚生労働省が2025年8月から段階的に実施する高額療養費制度の上限額引き上げを巡り、福岡資麿厚生労働大臣は4日、がん患者団体などとの直接対話を通じた合意形成を図る意向を明らかにした。制度見直しに対する患者側の懸念が噴出する中、政府が初めて対話路線に転じた形だ。
厚労省の新制度案では、現行5区分の所得階層を2026年8月から13区分に細分化し、高所得層ほど負担増幅を大きく設定。例えば年収370~770万円の世帯では、現行8万100円の上限額が8月に8万8200円に、2026年8月以降はさらに引き上げられる。これに対し全国がん患者団体連合会は1月、3623人から反対意見を集めたアンケート結果を公表。「治療継続が困難になる」との声が相次いでいる。
福岡大臣は4日の閣議後会見で「負担能力に応じ引き上げ率を緩和し、低所得者や長期療養者への配慮をした」と制度設計の意図を説明。その上で「しかるべき段階で患者団体の皆さまと直接話し合いたい」と述べ、近く全国がん患者団体連合会などとの面会を実施する方針を示した。
与党内では自民・公明両党幹事長が4日、制度問題点の再検討で合意。石破茂首相も同日「患者の納得が得られる対応を急ぐ」と述べ、調整加速を指示した。今後は患者団体との対話内容を踏まえ、7月までの制度施行前に修正措置が検討される可能性がある。
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