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中国 命の次に大事(と教えられてきた)なものを、人はなぜ捨てるのか……。

橋の下に降る札束 中国でまた「現金ばら撒き事件」【動画あり】

2025/06/16
更新: 2025/06/16

どれほど絶望すれば、命の次に大事なお金をバラまけるのか?

6月12日、中国・広東省深セン市宝安区の小さな川に、中国で最高額面となる百元紙幣(1枚約2千円)が束のまま大量に投げ込まれているのが発見された。

現場では、通りかかった男性が袋を手に紙幣を拾い集める姿が目撃され、ネット上では「総額は100万元(約2千万円)を超える」との情報が飛び交った。

 

現場の様子。(スクリーンショット)

 

現場を撮影した人物によれば「札束を投げたのは中年おじさん、投げた後すぐに去っていった。当時は怖くて拾えなかったが、今は後悔している」という。一方、拾得者の男性は複数回にわたって紙幣を回収し、袋いっぱいに詰め込んだという。関連動画は一時ネット上で拡散されたが、すでに中国国内のプラットフォームでは削除された。

ネット上では「汚職官僚による証拠隠滅ではないか」「失意の末に捨てられたのでは」といった憶測が飛び交った。

(現場の様子)

実際、近年の中国では同様の「紙幣ばら撒き事件」が相次いでおり、そのたびSNSで大騒ぎになり、例えば、新型コロナ(中共ウイルス)を封じ込めようとした「ゼロコロナ政策」下のロックダウン中の武漢では、同様の現金ばら撒き事件が何件も起きた。

今年1月11日には、湖北省黄石市で男性が河川に現金を投げ入れ、昨年11月7日には貴州省銅仁市で「2キロにわたり札を撒きながら歩いた人物」が確認された。昨年1月に、広東省広州市で起きた社会報復事件の市民を、無差別に轢き殺した暴走車の運転手の男も、犯行後に紙幣をばらまいていた。

昨年8月には、河南省鄭州市で自殺前の女性が、マンション11階から大量の現金をばら撒いていた。昨年12月には、雲南省大理市にある著名な観光スポット「大理古城」の楼閣上から、大量のお札がばらまかれ、2023年8月10日には、浙江省金華市の路上に、札束が撒かれ、騒然となった。

 

2025年3月8日、山西省呂梁市の大学のそばにある橋の下から大量の現金が見つかった。(スクリーンショット)

 

なぜ、命の次に大事(と教えられてきた)なものを投げ捨てるのか……。追い詰められた末の衝動か? あるいは「一切向銭看」の果ての人生に対する絶望なのか? 真相は不明のままだ。

なお、「一切向銭看」という言葉は、本来「一切向前看(どんなときも前を向こう)」という前向きな励ましの言葉から派生したものだったが、中国共産党が金こそがすべてという価値観を広める中で、「前(ぜん)」と同じ発音の「銭(ぜん)」にすり替えられ、金銭第一のスローガンとして定着した。

もともと中国は、仁・義・礼・智といった精神的価値を重んじる文化を持っていた。しかしその伝統は、共産党による思想改造と無神論教育の中で破壊され、「金を得るためなら人間性すら切り捨てていい」という歪んだ価値観が浸透したのである。

いずれにしても、金さえあれば、何でも叶う──そう刷り込まれてきた社会で、人は今、逆に「金を捨てる」という行為でしか、何かを訴えることができなくなっているのかもしれない。

 

イメージ画像。子ども3人を抱えて橋の欄干に座り込み、自殺をしようとする男性、2024年11月22日、中国広東省汕頭市。(動画よりスクリーンショット)

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!