イランの米基地攻撃は国内向け演出に過ぎず、実害は限定的。トランプ大統領は停戦を宣言し、背後で中国やロシアも態度を軟化。B-2爆撃機出動は中国共産党(中共)への警告ともなった。
月曜日、イランがミサイルによってアメリカのカタール空軍基地を攻撃した。しかし、全体の経過を精査すれば、これはイラン政権が国民向けに演出したプロパガンダに過ぎなかった。トランプ米大統領はその後、イランとイスラエルの双方に停戦を宣言した。
「兎死すれば狐これを悲しむ」。邪悪な枢軸勢力の指導者らは、アメリカとイスラエルに対して攻撃停止を懇願した。トランプ大統領は6月23日(月)、プーチン氏に対して強い警告を発したが、実際に最も事態を恐れているのは中国共産党かもしれない。
イラン、米軍基地を攻撃 内向き宣伝の演出に終始
米東部時間6月23日正午過ぎ、中東ではすでに夜の8時を回っていた。ドーハが夜になり、都市の灯が砂漠の夜を彩っていた。しかし、突如として現れたミサイルの航跡が静寂を破り、イランによるアメリカへの報復行動が始まった。
ドーハは瞬く間に緊張の渦に包まれた。ここには米軍中央司令部の拠点であるアル・ウデイド空軍基地があり、中東戦略上の要衝とされている。
21日夜、アメリカはイランの核施設への空爆を実行し、フォルドゥなど 3つの主要核基地を破壊した。この一撃はイランの核開発計画に深刻な打撃を与えた。イランは報復を宣言し、アメリカは強硬に反応する姿勢を打ち出した。
月曜日のイランによる攻撃については、複数の情報筋が事前に把握していた。フォックス・ニュースは正午の段階で「攻撃が差し迫っている」と報じ、Axiosはイスラエル当局者の話として「数分以内にミサイル発射の可能性がある」と伝えていた。アメリカのカタール大使館は職員に避難を命じ、カタールは防空体制を最高レベルに引き上げた。同時に、湾岸各国でGPS妨害も発生し、軍事行動の気配が色濃くなった。
深夜0時42分、イランはアル・ウデイド基地に6発の弾道ミサイルを発射。現地市民が撮影した映像では、夜空を駆けるミサイルの軌跡や防空迎撃の光跡がはっきりと確認できた。爆発音と閃光が交錯し、カタールの空は戦場と化した。
攻撃から約90分後、アメリカ国防総省は死傷者なしと発表した。カタール外務省報道官マジェド・アル=アンサリ氏もX上でこの攻撃を「国際法違反」と断じ、自国の防空システムが一部ミサイルの迎撃に成功したと述べた。
午前1時、トランプ大統領はホワイトハウスの戦況室に入り、ピート・ヘグセス国防長官、ダン・ケイン統合参謀本部議長と対応を協議した。CNBCによれば、トランプ大統領の表情には緊張が漂っていた。
その後、イランは米軍基地への攻撃映像を公開し、威勢のよい態度を強調した。国内では市民が車でパレードを行い、政権への忠誠を示した。イラン最高国家安全保障委員会は、自軍が数時間前にアル・ウデイド基地を「破壊した」と発表した。
しかし、アメリカ側の分析では、イランがアル・ウデイド基地に放ったミサイルは6発のみ、イラクの米軍基地には1発だけだった。すべて迎撃された。イランが事前に宣言していた「ミサイルの飽和攻撃」は影を潜め、大きな音のわりに実際の被害は限定的であった。
攻撃前には関係各国が情報を受け取っていた
ロイターなどの報道によれば、イランは事前にカタール当局とミサイル攻撃の調整を行い、人的被害を避けるよう配慮した。アメリカにも2つの外交ルートを通じて攻撃の通知が届き、同様にドーハ政府も事前通告を受けていた。
この一連の経過から明らかなのは、イランのミサイル攻撃の目的が軍事的勝利ではなく、国内向けに政権の威信を誇示する演出であったという点である。イラン指導部は面子を保ちつつ、アメリカの過剰反応を避けたいという計算から、限定的な反撃にとどめた。この手法は、国内のナショナリズムを刺激し、政権の正統性を維持する狙いに沿っていた。
この戦術は、2020年のカセム・ソレイマニ司令官の暗殺後と酷似している。当時もイランはミサイル攻撃を行ったが、事前にアメリカへ通知し、過剰な報復を避けるよう働きかけた。今回も同様に、軍事的損害を最小化しつつ、政治的には最大限の効果を引き出そうとした。
当時、イラン当局は、攻撃についても精密攻撃だったと主張して国内に宣伝を展開した。今回の手法も当時と同じく、抑制された軍事行動を通じて外交的・内政的均衡を取るための試みであった。政権は軍の力を誇示しつつ、国内統治の正当性を強化しようとした。
午後2時、トランプ大統領は戦況会議を再び開いたが、イランの攻撃には一切言及しなかった。ただしCNNやNBC、ABCのインタビューに対し「我々が攻撃したイラン拠点は完全に破壊された。それは明白な事実だ」と語った。彼は「偽メディア」が真実を隠しているとも非難した。
こうして、イランの一連の攻撃劇は終息に向かっているように見える。
剣が頭上に懸かる――トランプ大統領、イラン政権交代を語る その真意とは?
トランプ大統領が一時的に沈黙を保ったとしても、彼がイラン政権を容認するとは考えにくい。事実、米東部時間の日曜日午後、彼は突如SNSに投稿し、「政権交代」という表現を政治的に使うのは正しくないとしながらも、「もし今のイラン政権が国家を再び偉大に導けないのであれば、なぜ政権交代を行わないのか? MIGA(Make Iran Great Again、イランを再び偉大にしよう)!!!」と述べた。
この発言を受け、トランプ大統領が任命した米国営放送「ボイス・オブ・アメリカ」の責任者であるカリ・レイク氏は、「なんてこと!私は大統領が大好きだ!」と感嘆の声を上げた。
トランプ大統領の発言は衝撃的な影響を与えた。というのも、数時間前にはルビオ国務長官およびヘグセス国防長官が、アメリカはイランに対して政権交代を目指していないと明言していたからである。
では、トランプ大統領の真意はどこにあるのか。米東部時間の月曜日、ホワイトハウスのレビット報道官は記者会見で曖昧な態度を取り、トランプ大統領の意図を認めるかのように見せながらも、明確な計画の存在を否定するような発言を行った。
彼女は「大統領の立場も軍事態勢も変化していない。大統領は、多くの人々が心に抱く問いを提示したにすぎない。イラン政権が核計画を放棄せず、交渉にも応じないのであれば――我々はすでに土曜の夜には彼らの核施設を破壊したが――外交的努力を拒否するその姿勢に対して、なぜイラン国民はこの暴虐なテロ政権に立ち向かわないのか?」と語った。
さらにレビット報道官は、トランプ大統領が引き続き外交的解決策に関心を持ち、積極的に関与していると述べた。
また彼女は、トランプ大統領が断固たる行動を取り、イランというならず者政権の核能力を徹底的に破壊したことで、アメリカの安全保障は飛躍的に高まったと説明した。過去の歴代大統領が望みながらも果たせなかった行動を、トランプ大統領は決断し実行に移した。彼の指導のもと、「力による平和」の時代が再び到来したという。
トランプ大統領は現在、複数の選択肢を保持しており、平和的手段によってイラン政権に核計画放棄の道を依然として与える意思がある。その一方で、ハメネイ政権にはその選択を受け入れる胆力が欠けている、と私は考える。
今後の展開において、鍵を握るのは、イスラエルによる軍事行動がイラン国内に変化をもたらすか否かである。
過去2日間、イスラエルはイラン政権の安定を支える要所に対する攻撃を明らかに強化している。以下はその主な内容である。
1)イラン革命防衛隊および内部治安部隊の指揮センターや資産を標的とし、500~1千人の革命防衛隊員を殺害した。
2)イスラム法の執行と民間人の違法行為を報告する部門を爆撃した。
3)テヘラン地域の安全と軍事活動を統括するアルボズ軍団を攻撃した。
4)国土防衛と騒乱鎮圧を担う「暴動鎮圧警察」の施設を破壊し、組織内の情報管理・メディア監視体制にも打撃を与えた。
またイスラエルは政治犯を収容するエヴィン刑務所の門と塀を爆破した。
23日には、イラン・パフラヴィー王朝最後の皇太子がパリで演説を行い、国家の転換と復興の計画を提示した。彼は、イラン・イスラム政権による核の脅威はいまだ健在であり、唯一の安全保障の道は「この政権の排除」にあると断言した。さらに、多くのイラン軍将校が彼に連絡を取っており、彼は今後の進路について真剣に検討を重ねていると語った。
今後の展開については、引き続き注視が必要である。
トランプ大統領の奇襲作戦の舞台裏 B-2出動は中共への警告か
中東とイランを巡る戦場について語り終えたので、次にホワイトハウスや中共のここ数日の内幕に焦点を移す。トランプ大統領の奇襲作戦は世界を驚かせたが、彼はいつ決断したのか。
中共は当初、イランをけしかけてイスラエルへの報復に導き、自らは高みの見物を決め込んでいた。だが、突然態度を変え、習近平とプーチンがアメリカとイスラエルに対してイランへの集団攻撃の停止を懇願するという異例の行動に出た。この変化の背景には何があったのか。
米国のネットメディアAxiosは、トランプ大統領が巧妙な「欺瞞(headfake)」を仕掛けたと報じている。実際、G7サミットの期間中、トランプ大統領はすでに国防総省に対してイラン攻撃の最終計画を作成するよう命じていた。
6月15日(火曜日)トランプ大統領はカナダ訪問を早めに切り上げ、帰国後すぐに国家安全保障チームと作戦会議を実施した。彼は作戦の詳細、バンカーバスター爆弾の信頼性、潜在的リスクについて報告を求めた。
トランプ大統領に近い政府高官によれば、軍と国防総省は「成功は確実である」との見解を直接伝えている。
20日の午後、作戦が延期される可能性がささやかれる中、トランプ大統領はヘグセス国防長官にB-2爆撃機の出撃を許可した。
国防総省は6月23日(月曜日)にその様子を映像で公開し、米空軍のB-2が「ミッドナイト・ハンマー作戦」の準備を進めていることを示した。
数時間後、15機のB-2ステルス爆撃機がミズーリ州の基地を離陸し、6機は囮として西へ、主力部隊は東へ飛行してイランを目指した。統合参謀本部議長ダン・ケイン将軍はその事実を明かしている。
21日の午後、トランプ大統領がニュージャージー州のゴルフクラブに滞在していた際、B-2部隊が無線を切る直前であることを知らされ、「これから後戻りはできない状態になる」と告げられた。彼は最終的に作戦実行を承認し、エアフォースワンに乗ってワシントンに戻った。その直後、作戦室において最初の爆弾が標的に命中する瞬間を見届けた。
この奇襲は米国の同盟国や親米諸国にとって朗報となり、「アメリカ・ファースト」は孤立主義ではなく、悪の政権と共に戦う意志の表明であることを示した。以前から語られてきた「疑米論」も、この一撃で打ち砕かれた。
一方、米国の敵にとって、この作戦は悪夢である。トランプ大統領は言葉だけの人物ではなく、実行力を備えていることを証明した。彼はちょうど一年前に、大統領として復帰した場合、中共が台湾を侵略した際には北京を爆撃すると、またプーチンがクリミアを侵略した時には自分が大統領であればモスクワを爆撃すると公言していた。
当時、多くの者はそれを空言と受け取っていた。しかし、今回の奇襲によってその認識は一変した。わずか数日前まで、世界の大多数がトランプ大統領によるイラン爆撃を本気で予想していなかったが、現実には作戦が完遂された。
このB-2の出撃は、単なる軍事作戦ではなく、悪の枢軸国への重大な威嚇でもある。
想像してみてほしい。小さな町に保安官が帰還し、暴れ回っていた暴徒の一人を一撃で制圧したとする。その時、残りの連中は今まで通り威張り散らすことができるのか。
過去数十年、ならず者政権たちは「犠牲を恐れず戦う」と喧伝してきた。だが、トランプ大統領は「まず首謀者を排除する」という斬首作戦を選び、中南海や地下壕にバンカーバスターを打ち込む構えを見せている。これでは悪党どもも沈黙せざるを得ない。
この2日間、多くのメディアが「イランがホルムズ海峡を封鎖する可能性」を論じてきた。だが、現実のニュースを見る限り、それを実行に移せる余力がイランに残っているかは疑問だ。加えて、アメリカは中共にも明確な警告を発している。
ヴァンス副大統領は日曜、FOXニュースの番組内で「北京政府にこの問題について話すことを強く勧める。なぜなら中国の石油はホルムズ海峡に大きく依存しているからだ」と発言した。
トランプ大統領がB-2爆撃機をグアムに向かわせたのは、イラン爆撃の支援にとどまらず、中共への直接的な威嚇でもある。グアムはインド太平洋地域における米国の要所であり、B-2の配備は台湾海峡や南シナ海での中共の軍事行動に対する強硬な姿勢を象徴する。トランプ大統領の一連の行動は、中共に対して「米軍の存在を侮るな」という明白なメッセージを突きつけている。
最近の中共とロシアの動向にも変化が表れている。23日、イラン外相はプーチン氏と会談し、プーチン氏はアメリカとイスラエルによる攻撃を非難しつつ、イランへの軍事支援には言及しなかった。イランは独力で対応せざるを得ない状況にある。したがって、全面戦争には発展しない。
中共も同様にトーンを変えた。6月22日(北京時間)、中共外交部報道官は米国によるイラン核施設攻撃を「強く非難する」と述べながらも、イスラエルに即時停戦と民間人の安全確保、対話の開始を呼びかけ、「国際社会と協力して中東の安定に努める」と発言した。
この発言の変化は興味深い。数日前まで中共の党メディアはトランプ大統領の腰抜けぶりをあざ笑い、「イランはまずイスラエルを叩いてから交渉に臨むべきだ」と煽っていたにもかかわらず、今では停戦と平和を訴えている。
とはいえ、中共が自発的に善へと転じるとは考えにくい。むしろ、引き続き悪事を積み重ね、最終的に中国人民と国際社会の正義の力によって歴史の廃墟へと葬られる日が近づいている。
習近平ら中共指導部によるイラン政策の裏側や方針転換の詳細も多く存在するが、今回はここまでとする。
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