【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

中共の関係団体が米国でグリーンエネルギーを推進=米シンクタンク

2025/06/29
更新: 2025/06/29

サンフランシスコに拠点を置く能源基金会(EFC:Energy Foundation China)は、米国のグリーンエネルギーへの移行を加速させ、中国へのエネルギー依存を高めていると報告書は指摘している。

新しい報告書は、サンフランシスコに拠点を置き、中国共産党(中共)と深い関係を持つ団体が、米国のエネルギー自立を損なう一方で、中国政府に利益をもたらす気候変動政策を推進していると警告している。

中国に関連する安全保障上の脅威に関する政策提言を行う団体「ステート・アーマー」(State Armor)が発表したこの報告書は、気候変動戦略に取り組んでいた元中国政府高官の鄒驥(ゾウ・ジー)氏が率いる米国登録の非営利団体EFCを調査している。

報告書には次のように記されている。「過去10年間にわたり、この基金会は多額の資金を活用して、米国における『グリーン』エネルギーへの移行を加速させるための研究、提言、政策策定を支援してきた。この移行により、アメリカは中国に依存するようになった」

現在、アメリカはリチウムイオン電池、太陽光パネル、電気自動車用充電ステーション、レアアース鉱物といった分野で中国に依存している。最近、連邦議会議員たちは、中国製の太陽光発電インバーターに潜在的な不正部品が含まれている可能性について懸念を表明しており、そうした部品が「遠隔操作によるアクセス、不正なデータの流出、さらには運用の妨害を可能にする恐れがある」と指摘している。

報告書は次のように述べている。

「中国共産党が、米国をエネルギー資源面で中国に依存させようとする戦略は、産業および国家の安全保障に対する脅威である」

報告書は、EFCが「中国政府機関と密接な関係を持ち」、その指導部が中共とつながりがあることについて、「米国のエネルギーおよび環境政策に対する外国からの影響に関して、米国の政策立案者は深刻な懸念を抱くべきだ」と述べている。

中共とのつながり

EFCの2つのオフィスのうち1つは、北京にあり、中国の国有投資企業である中信集団(CITICグループ)と同じ建物内にある。

同団体のウェブサイトによると、EFCの会長兼CEOである鄒氏はかつて、中国政府の最高経済計画機関である中国国家発展改革委員会傘下の「国家気候変動戦略・国際協力センター」の副局長を務めていた。

また、同サイトによれば、鄒氏は2015年のパリ気候変動会議における中国の交渉チームのメンバーでもあった。さらに、彼は中国の国立大学である清華大学にも在籍しており、その同僚の中には、元中国の政治代表であり、退役した少将も含まれていた。

EFCのウェブサイトによると、環境プログラムディレクターの劉欣氏は、北京市の環境保護局で15年間勤務していた。

また、EFCの理事の一人である張宏軍氏は、ワシントンを拠点とする弁護士である。彼の所属する法律事務所のウェブサイトによれば、張氏は中国政府の最高行政機関である全国人民代表大会(全人代)で立法関連のディレクターを務めた経験がある。同サイトでは、張氏が「長年にわたり中国政府で法務および政策分野に携わってきた」こと、そして1998年にビル・クリントン米大統領が訪中した際、唯一招待された弁護士として環境に関する円卓会議に参加したことも記されている。

EFCは、中国東部の江蘇省環境庁や、中国政府の高級国際諮問機関である「中国の環境と開発に関する国際協力委員会」といった政府機関と提携関係を築いている。

気候政策の支援

報告書によると、中共はグリーン技術の推進を図って「進歩的なアメリカの気候変動ロビー活動を取り込み」、現在は特に電力網や肥料市場に焦点を当てている。

中国の化学品や肥料の製造で知られる国有企業 中国中化集団は、2020年に米国防総省から、米国内で直接的または間接的に活動する「中国共産党軍事企業」の一つとして名指しされた。

「米国におけるグリーンエネルギー推進の急速な拡大は、アメリカのエネルギー支配力を損ない、中国にとって重要な経済的および地政学的優位を生み出し、さらには中国共産党によるより広範な影響力拡大活動がアメリカ産業に侵入する大きなルートを開いた」と報告書は述べている。

EFCは毎年、グリーンエネルギーの代替案を推進する団体に数百万ドルを支出している。

2023年、EFCは環境保護団体であるロッキー・マウンテン・インスティテュートに35万ドル(約5063万円)、ナチュラル・リソース・ディフェンス・カウンシル(NRDC)に20万ドル(約2893万円)の助成金を提供した。

NRDCには2018年、ニューヨークを拠点とする同団体の中国との関係や、外国代理人登録法(FARA)への適合状況について、2人の下院議員が文書提出を求める書簡を送ったことで厳しい視線が注がれた。

同団体はエポックタイムズに対し、「NRDCは独立した非営利の公益団体であり、環境と公衆衛生の保護に取り組んでいる。米国、中国、インド、または世界のどこであっても、当団体の方針を策定する際には、米国を拠点とする上級幹部および独立した理事会のメンバーに依拠しており、それ以外の者には依存していない。私たちは、この国であれ他国であれ、いかなる政府の指示も受けていない」と述べた。

コロラド州に拠点を置くロッキー・マウンテン・インスティテュートは、ガス連合の禁止を提唱し、2022年にはガスコンロの使用と喘息の関連を示す研究を発表した。北京にオフィスを持ち、中国が「野心的なクリーンエネルギー目標を掲げている」ことや「様々な気候技術への投資で世界をリードしている」という報告書を発表している。

ステート・アーマーの報告書は、EFCを中国とアメリカの間で気候政策を調整する「連絡役」と呼んでいる。報告書は、EFCが2023年にカリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事の中国訪問時のイベントを支援し、その1か月後には中国とアメリカの「低炭素協力」を推進する討論フォーラムを主催したことを指摘している。

ステート・アーマーの創設者兼CEOであるマイケル・ルッチ氏は6月11日、5つの議会委員会のリーダーに宛てて書簡を送り、この報告書を「EFC調査のためのロードマップ」として活用するよう求めた。

ルッチ氏は「議会は行動を起こさなければならない。EFCは受け身の観察者ではなく、アメリカのエネルギー安全保障と世界的リーダーシップがかかった地政学的な争いの中で積極的に関与する当事者だ」と書いている。

「気候活動の武器化」

米中経済および安全保障審査委員会のジョシュ・ホッジズ委員は、この報告書が「典型的な中国共産党の行動」をあらゆる面で示していると述べた。

彼はエポックタイムズに対し、こう語った。

「米政府全体で、中国共産党がエネルギー分野であれ、資源支配であれ、情報活動であれ、自らの目的を推進するために民間企業やペーパーカンパニーを積極的に利用していることはよく知られている」「彼らは一見正当なビジネス関係を巧みに利用して足場を固めており、これは州レベルでも連邦レベルでも行われている」

アメリカン・エネルギー・インスティテュートの創設者兼CEOであるジェイソン・アイザック氏は、この報告書が中共が米国内の非営利団体を利用してきた様子を示していると述べた。

アイザック氏はエポックタイムズに対し、こう語った。「中国共産党が、非営利の政策機関や研究機関、教育分野に組織的に浸透し、現実や事実、数字に基づかないマーケティングキャンペーンをこの国で展開しているという、そうした協調的な取り組みの証拠が、これまで以上に多く明らかになってきていると思う」「彼らは気候活動を武器化しており、それが米国のエネルギー安全保障を本当に損なっている」

2025年4月14日、中国・寧夏自治区霊武市にある「寧国運霊武100万キロワット太陽光発電複合プロジェクト」の現場で、作業員たちが砂漠に設置するための太陽光パネルを運んでいる(AFP=Getty Images)

2024年、天然ガスが米国の主要なエネルギー源として38%を占めた一方で、「再生可能」エネルギーの生産は記録的な伸びを示している。エネルギー情報局(EIA)のデータによると、太陽光発電量は前年に比べて25%増加し、風力発電量も8%増加した。

ジョシュ・ホッジズ氏は「中国はこの市場での支配権を握りたいと考えている。必要なインフラを供給できる唯一の存在になりたいのだ」と述べた。

さらに、中共がアクセスと支配を強めれば強めるほど、米国の他の企業が繁栄する可能性は低くなると彼は指摘した。

ホッジズ氏は、米国には国際的なパートナーにエネルギー安全保障を提供する「十分な役割」があると主張し、「彼らが敵対的な国に依存しないようにするためだ」と述べた。さらに、米国企業が日本の大手発電会社JERAと年間最大550万トンのアメリカ産液化天然ガスを供給する契約を最終的に締結したことを指摘した。

「中国は明らかにそれを望んでいない。彼らは我々をグリーンエネルギーや非常にコスト効率の悪いものに注力させたいのだ。それが中国を主導的な立場に置くことになる」と彼は述べた。

「彼ら(中共)はこの分野で主導権を握りたいと本気で考えており、もし我々が手元にある資源を優先的に活用すれば、米国にはこの分野で多くの提供できるものがあることを彼らは知っている」

エポックタイムズはコメントを求めて、EFCとロッキー・マウンテン・インスティテュートに連絡を取った。

Eva Fu
エポックタイムズのライター。ニューヨークを拠点に、米国政治、米中関係、信教の自由、人権問題について執筆を行う。
台湾在住のジャーナリスト。米国、中国、台湾のニュースを担当。台湾の国立清華大学で材料工学の修士号を取得。