【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

米商務省職員 中国で出国禁止 米大使館「注意深く注視」

2025/07/22
更新: 2025/07/22

米商務省特許商標庁に勤務する中国系アメリカ人職員が、中国共産党(中共)当局により出国を禁止されていることが明らかになった。アメリカ駐中国大使館は7月21日、こうした事案について「注意深く注視している」と表明した。

この件を最初に報じたワシントン・ポストによると、当該職員は親族を訪ねて中国を訪れていたが、中共政府により出国が制限されているという。

現在、米中は貿易摩擦の中にあり、関税措置の一時停止(90日間)の期間中にある。

在中国米大使館の報道官は、「中国国内で出国禁止措置を受けたアメリカ市民の状況を非常に憂慮しており、すでに北京当局に対してこうした措置が米中関係に与える影響について懸念を伝えた」と説明。「該当するアメリカ人が直ちに帰国できるよう、強く要請している」と述べた。

この件は、各国のビジネス関係者や政府関係者の間で、中国への出張や親族訪問に対する不安を広げている。

先週も、米金融大手ウェルズ・ファーゴ幹部職員のアトランタ支店のマネージングディレクターであるマオ・チェンユエ(Mao Chenyue)氏が、中共当局により出国を禁止された。これを受け、同社はすべての従業員による中国渡航を一時停止している。

フィナンシャル・タイムズによれば、中共当局による出国禁止措置は通常、正式に公表されることはなく、その理由も明示されない。スパイ行為の疑いや汚職捜査、商業紛争など、理由はさまざまで、対象者の多くは出国手続きの際に初めて制限を知るケースが多いという。

また、刑事告発されていないにもかかわらず、「調査協力の必要がある」といった理由で出国が制限されることも多く、時には異議の封じ込めや、外国企業や他国政府との交渉材料として使われることもあると指摘している。

米大使館は、「中国(中共)政府は長年にわたり、明確で透明な法的手続きを欠いたまま、アメリカ市民やその他の外国人に対して出国禁止措置を行ってきた」と批判している。

一方、中共外務省の報道官はこの件に関し、「現時点で提供できる情報はない」とコメント。ただし、出国禁止されるウェルズ・ファーゴの幹部については「刑事事件に関与している疑いがある」として、「現在、捜査中であり、彼女は中国を離れることができない。調査に協力する義務がある」と述べた。

ウェルズ・ファーゴはこの件についてのコメントを控えている。

こうした出国禁止措置の相次ぐ報道を受け、アメリカ政府は自国民に対し、中国渡航時には十分な注意を払うよう呼びかけており、現地における恣意的な法執行のリスクについても警告している。

その一方で、中共政府は訪中観光を促進するため、さまざまな国に対してビザ免除措置を広げている。

2023年9月には、野村證券(香港)に勤務する投資銀行部門の幹部、王忠和(Charles Wang Zhonghe)氏が中国出張中に出国を禁止され、2024年7月になってようやく帰港を許されたと報じている。

また、米コンサルティング会社デアンホアの香港籍幹部、マイケル・チャン氏も2023年に出国を禁じられた。『ウォール・ストリート・ジャーナル』によれば、数年前の案件に関する調査が理由とされ、2025年5月時点でも中国を離れることができていない。

さらに先週には、アステラスすに勤務する日本人幹部が中国でスパイ罪に問われ、3年半の懲役刑が言い渡されたが、具体的な証拠は公表されておらず、日本大使館は中国の司法手続きの不透明さに強く抗議している。

林燕