CIAの離反勧誘動画が再生1億回超え 中共が反スパイ宣伝を強化

2026/03/18
更新: 2026/03/18

米中央情報局(CIA)は、中国共産党(中共)を対象に中国語の動画をソーシャルメディア上で公開し、中共軍内の潜在的な情報提供者の取り込みや軍官の離反を狙っている。動画の総再生回数はすでに1億回を超え、関係者は効果が顕著だと指摘した。これを受け、中共国家安全部は国外への投降を試みた元内部関係者が出国前に拘束された事案を公表した。専門家は、この動きについて中共による反スパイ宣伝であり、威嚇と恐怖を意図的に生み出す狙いがある可能性があると指摘している。

中共国家安全部は10日、微信の公式アカウントで「重要な職務に就いていた退職者が自発的に国外のスパイ機関に接触した案件を摘発した」と発表した。発表によると、関係者の李某は療養機関の医療従事者で、規律違反により解雇された後、外国の永住ビザ取得を目的に、在職中に保管していた機密資料や体制を中傷する資料を違法に整理し「投名状(裏切りの証明としての手土産)」として準備していたが、出国前に拘束された。

国家安全部は、李某が自身の過失から不満を募らせ、日常的にインターネットに没頭し現実から逃避していたと説明した。李某は頻繁にVPNなどを利用し検閲を回避して海外サイトを閲覧し、移民政策を検索して国外移住を企図していたという。この発表は中国国内の多数のメディアが転載し、中共の官製メディアも異例の形で報じた。

民陣副主席で独立中文ペンクラブの報道官である盛雪氏は、この事案について中共の反スパイ宣伝である可能性があると指摘した。盛雪氏は「報道の構成は非常に単純で定型的であり、個人が体制への不満を認め、海外情報に接触し、外国機関との連絡を試みて直ちに逮捕され、深く反省し罪を認めるという流れで、細部も曖昧である。こうした手法自体が明確な政治宣伝の意図を持ち、体制内部の人々に対し国家安全機関があらゆる場所に存在するとの印象を与え、CIAへの接触を思いとどまらせる狙いがある」と述べた。

2025年5月、CIAは中国語の動画2本を公開し、中共の末端官僚や高官の関心を引くことを目的に、CIAへの連絡手段を提示した。CIAは接触行為を「運命を掌握する」「家族を守る」という道徳的選択と位置付け、従来の裏切りとは異なると説明している。動画の再生回数はすでに数千万回に達した。

専門家は、これらの動きがCIAによる中共官僚の取り込みが一定の成果を上げていることを示しているとみている。

盛雪氏は「新型コロナウイルス後の状況や近年の中国経済の低迷により、中共官僚の一部で移民志向や家族の海外移住志向が加速している。体制への不満を抱く人々はインターネットを通じて外部世界に接触している。また当局は機密職務に関わった離職者の出国管理を強化しており、これは国民の体制に対する深刻な不信と同時に、当局自身が内部人員を強く不信していることを示している」と指摘した。

2026年1月、CIAは3本目の動画を公開し、連絡方法を更新した。動画では「CIAは中国の真実を知りたいと考えており、それを知り伝えることができる人物を探している」と呼びかけた。この動画は張又俠の失脚から1か月足らずで公開され、軍内の不安定化と中共最高指導部の不安を示唆する内容と受け止められている。

その後、CIAは4本目の動画「立ち上がる理由 未来を救うため」を公開した。

動画の再生回数が増えるほど世論の議論も活発化しており、各再生は一種の意思表示とみなされている。

独立系学者の頼建平氏は、「中国国内という閉鎖的環境の中で、多くの人が自由に行動することは困難であり、特に離反を試みる体制内部の人間は行動の自由がほとんどなく、パスポートも自ら管理できない。一方、在外の外交機関職員など体制関係者の中には帰国せず国外に留まる例も多く確認されている」と述べた。

体制内部の人々が将来に備えて退路を模索し始めているとの見方が広がっており、当局にとって新たな懸念材料となっている。

盛雪氏は「高官や外交官、軍上層部の公開離反や海外への大量亡命といった現象は現時点では確認されていないが、西側諸国への潜在的な移動やCIAとの秘密接触による退路確保は相当数存在するとみられる。中国の公式統計でも、1990年代半ばから十数年前までに国外逃亡または行方不明となった官僚は数万人規模に達し、持ち出された資金は数千億単位に上るとされる」と述べた。

匿名のCIA当局者はロイター通信に対し、これまでの動画が数百万人に到達し、新たな情報源の獲得につながっていると説明したが、詳細には言及しなかった。

頼建平氏は「中共統治の強圧化に伴い、耐え難さを感じる人は増加しており、この傾向は今後も続くとみられる。機会があれば国外脱出を試みる人は増えるが、家族や資産など国内との結び付きが強く、容易に行動に移せない場合も多い。この動きが広範な潮流となるかどうかは引き続き注視が必要である」と述べた。

ジョン・ラトクリフCIA長官は声明で「2025年の中国語動画キャンペーンは多くの中国国民に届き、より良い生活や国家の改善を模索する人々が増えていることを把握している」と述べた。