中共当局 帰国者を重点監視対象に 「境外の敵対勢力」扱いも

2026/05/02
更新: 2026/05/02

中国共産党の基層監視体制において、近年、新たな統制強化の動きが顕著となっている。とりわけ海外からの帰国者が重点監視対象として位置付けられ、「特別な注意対象」とされている実態が明らかになった。

広東省深圳など各地からの情報によれば、「反スパイ」キャンペーンの強化を背景に、留学生や帰国定住者は一律に監視対象とされ、一部では「境外の敵対勢力」とみなされる状況も生じているという。日常生活における言動も観察・記録の対象となっている模様だ。

深圳市龍崗区周辺の社区管理関係者の男性は、大紀元の取材に対し、街道弁事処からグリッド担当者に対し帰国者の動向把握を徹底するよう指示が出ていると証言した。

「現在はスパイ摘発の雰囲気が非常に強い。社区では海外から帰国した住民を把握し、その発言内容を細かく確認するよう求められている。例えば中国より外国の方が良いといった発言や、海外の福利厚生・収入を称賛する内容などだ。海外に背景を持つ家庭についても注意対象となっている」

同氏によれば、住民監視担当職員には帰国者の行動履歴、交友関係、日常的な会話内容まで記録することが求められているという。また一部地域では、帰国者そのものが「境外の敵対勢力」として扱われている実態もあると指摘した。

「実際にはスパイ摘発と称しながら、住民の不満や体制批判を通報させる仕組みになっている。さらに、寝そべり現象も外国勢力の影響によるものと説明されている」

「境外の敵対勢力」名目での社会活動介入拡大

中国メディアの関係者である程益中さんの経験とされる事例が、中国のSNSウィーチャット上で拡散されている。それによれば、「南友サークル2026年パートナー大会」を巡り、当局の介入が相次いだ。

会議前日には、深圳の政法機関が私服要員を会場予定の事務所および飲食店に派遣し、安全上の理由から開催中止を要求したが、主催側はこれを拒否した。

さらに会議当日には会場周辺で警察車両が巡回し、建物内には私服警察も配置されたとされる。会議後、関連投稿は削除され、南友圏の公式アカウントは永久凍結された。

その後、主催者は当局から事情聴取を受け、「境外勢力の関与」が問題視されたほか、関連イベントの参加者にも言及があったとされる。

同日、当局は事務所への立ち入り調査や商品の差し押さえを実施し、さらに公安当局が主催者の自宅を訪問し家族情報の確認を行ったという。

学者「海外経験者への監視拡大」

中国メディアの関係者である武庭さん(仮名)は、当局が帰国者、特にメディア関係者を「境外の敵対勢力」と同一視する傾向を強めていると指摘する。

「かつては海外経験を持つ人材を積極的に評価していたが、現在はむしろ監視対象となっている。寝そべりといった社会現象まで境外勢力の影響と結び付けられている状況は、文化大革命期を想起させる」

また広州市の退職男性は、社区の住民監視担当職員による頻繁な聞き取りについて次のように語る。

「息子とどの程度連絡を取っているか、米国で何の仕事をしているかなど、細かく質問される。まるで調査のようだ」

反スパイ法改正後 監視体制強化

中国では2023年に改正された反スパイ法により、適用範囲が拡大されている。これを受け、各地で宣伝活動や排查(調査)が強化され、社区および住民監視制度が末端の監視機構として機能している。

国家安全当局は近年、「敵対勢力」概念を強調する宣伝を展開し、社会全体における警戒意識の醸成を進めている。

四川省の学者である胡力さんは、具体的なスパイ事案が限定的である一方で、監視対象が海外経験者全般に拡大していると指摘する。

「本来は人材流動の一部である帰国者が監視対象へと転化されている。就業や社会活動においても敏感な立場となっており、統治の人治的性格が強まっていることを示している」

王一波