前米長官が警告 兵役世代の中国人不法移民が殺到 狙われるアメリカ

2026/06/17
更新: 2026/06/17

「シールド・オブ・ジ・アメリカズ」特使で、前米国土安全保障省長官のノーム氏は6月16日、Foxビジネスの独占インタビューに応じた。ノーム氏は番組で、中国共産党(中共)が関与する組織的な仕組みによって、多数の中国人がアメリカ国境へ継続的に移動していると警告した。

インタビューでノーム氏は、アメリカ側が把握している最新情報について説明した。同氏によると、北京当局の支援を受けている疑いのあるダークウェブ上のネットワークや組織が、不法移民に専用の入国書類や統一したバックパックを提供し、アメリカの北部および南部国境付近まで移動させているという。

中南米に「旅行代理店」のような密入国拠点

ノーム氏は番組で、「中国からの密入国者がアメリカ国内に入ってくる動きには、極めて組織的で、協調する攻勢が見られる」と述べた。国土安全保障長官在任中、複数の中南米諸国の政府高官と緊密に協力したといい、これらの国々は、中共がすでに自国内に専門の運営拠点を設けていると認めたという。

「こうした拠点の機能は、一般の旅行代理店とほとんど変わらない。現地に到着した中国人を専門に受け入れている」とノーム氏は述べた。

同氏は、密入国の流れについて次のように説明した。中国人が中南米に到着すると、すぐに受け入れ担当者が接触し、特定の(移動中に必要な物資や指示書をまとめた)統一書類バックパックを渡す。その後、集団でバスに乗せ、北上してアメリカの南部国境を越えるよう手配するという。

ノーム氏は、こうした不法移民には一定の共通点があり、国家安全保障当局が強い警戒感を抱いていると強調した。

「国境での証言や調査報告の大半は、彼らが同じような年齢層で、若者が中心であり、男性が多いことを示している。女性も少数含まれている」と同氏は述べた。そのうえで、これは特定の人物をアメリカ国内に入れ、アメリカを根本から変えようとする協調された計画的な試みだと主張した。

米国境を越える中国人移民の数は過去最高水準に達している。米政府の統計によると、2023年末以降、アメリカとメキシコ南部国境で法執行機関が遭遇・拘束した中国人は2万2千人を超えている。

人口密入国だけでなく、米情報機関や米麻薬取締局も、アメリカに流入する致死性の高い薬物の背後に中共の影響があるとする報告を繰り返し発表している。米国内で流通する違法フェンタニルの前駆化学物質の大部分は、中国国内の化学工場に由来する。これらの前駆物質は大量に海上輸送でメキシコに運ばれ、現地の麻薬組織によって加工・精製した後、アメリカへ密輸している。

ノーム氏はこの点について、密輸ルートを「中共政府に直接結びつける」公式な法的証拠は、現時点で米側は得ていないとしつつも、中共と近い関係にある中国企業や、その利益を代表する個人が、メキシコのギャングや麻薬組織と深く協力し、薬物がアメリカへ円滑に流入するよう動いていることは疑いないと述べた。

ノーム氏はさらに、「中共にはアメリカを破壊する長期的な計画がある」と述べた。中共は、通常の領域で伝統的な軍事力を発展させたり、通貨を操作したり、不公正な貿易手段でアメリカに損害を与えたりしているだけではないと指摘した。

同氏は、中共には薬物と浸透を通じてアメリカの若い世代に打撃を与え、アメリカ社会を内側から弱体化させようとする、より陰湿な戦略があると主張した。

「その目的を達成するためなら、彼らは手段を選ばない」と同氏は語った。

専門家 有事の安全保障リスクを警告

保守系シンクタンク「ゲートストーン研究所」の上級研究員であるゴードン・チャン氏も、2024年3月18日にFoxビジネスの番組に出演し、現在まで続く中国人移民の流入について強い警戒感を示していた。

チャン氏は、米・メキシコ国境に現れている中国人不法移民について、「多くは兵役年齢にあり、単身で、家族を伴っていない。さらに、法執行官と接する際には、英語を理解できないないように振る舞う傾向がある」と指摘した。同氏は、このような人口構成は過去数十年の不法入国の歴史においても極めて珍しいと述べた。

チャン氏は「一部の人々が、中国経済の全面的な低迷、失業率の上昇、自身の将来への強い悲観から、密入国によって暴政から逃れようとしていることは認める」と述べた。そのうえで、「しかしアメリカの国家安全保障部門は、その中に特殊な政治任務や悪意を持つ人物が紛れ込んでいる可能性を決して排除してはならない」と警告した。

同氏は、こうした人々の一部が何らかの目的を持って米国内に入っている場合、米中間で実質的な軍事衝突が発生した際に、アメリカ本土で後方破壊工作や標的を定めた暗殺、重要インフラへの放火・機能停止といった行動に出る可能性があると述べた。

またチャン氏は、この密入国ルートにかかる高額な費用にも言及した。1人当たり平均で3万5千ドルもの密輸費用をメキシコの麻薬組織に支払う必要があるとし、これは従来型の難民の逃亡ではなく、資金的支援を受け、入念に選別した集団行動であることを示していると主張した。

議員ら 太平洋地域のビザ免除制度見直しを要求

南北の陸上国境だけでなく、アメリカの太平洋領土も中共による浸透の新たな対象になっているとの懸念が出ている。

リック・スコット、ジム・バンクス、マークウェイン・マリン米上院の3人の議員は2024年4月18日、当時のバイデン政権の国土安全保障省に連名で書簡を送り、オバマ政権時代から残る「グアム・北マリアナ諸島ビザ免除プログラム」の重大な戦略的抜け穴を直ちにふさぐよう求めた。この要求は、その後、トランプ政権の国境対策の重点にもなった。

書簡によると、このビザ免除制度により、中国人はアメリカビザなしでサイパン島などに直接渡航できる。その結果、現地では中国人妊婦が出産のために渡航する、いわゆる「出産ツーリズム」が急速に広がり、多くの中国人妊婦が島で出産し、子供にアメリカ国籍を取得させる事例が相次いだという。

アメリカ国防当局が特に懸念しているのは、多数の中国人がビザ免除制度を利用してサイパン島に入った後、未登録の違法高速艇に乗り、夜間に軍事戦略上重要なグアムへ密航している疑いがある点だ。近年、中国人が米軍のアンダーセン空軍基地や機密性の高い海軍港湾周辺に不法侵入し、不審な写真撮影や測量を行ったとして、その場で逮捕する事案が複数発生している。

議員らは、このビザ免除制度が、中共による米軍の西太平洋地域における軍事配置の偵察を容易にする抜け穴になっていると強調した。

李言