キューバが米左派団体を支援か 米国務省報告書が指摘

2026/07/23
更新: 2026/07/23

米国務省は今月20日、キューバ政府が米国内の左派団体を支援するとともに、米政府中枢への浸透を図ってきたとする報告書を公表した。

報告書は、キューバ政権が約70年にわたり米国に対して「継続的な転覆活動(sustained campaign of subversion)」を展開してきたと指摘している。公表は、マルコ・ルビオ国務長官が数日前、世界各国の指導者に対し暴力的な極左組織の脅威を深刻に受け止めるよう呼び掛けた直後に行われた。

報告書では、アンティファ(Antifa)、コード・ピンク(Code Pink)、米国共産党(Communist Party USA)、米民主社会主義者(Democratic Socialists of America)、ナショナル・ネットワーク・オン・キューバ(National Network on Cuba)、ナショナル・ロイヤーズ・ギルド(National Lawyers Guild)などの左派組織がキューバ政府と関係していると指摘。さらに、一部左派団体が米軍によるキューバへの軍事行動が発生した場合に備えた動員計画を策定していたと記している。

国務省は、キューバによるスパイ活動や思想運動への影響工作について「米政府の最高レベルに浸透し、何世代にもわたり米国人活動家を勧誘・育成し、米国内で前例のない左翼テロの波を支援するとともに、米国史上最も持続的かつ深刻な外国情報機関による浸透工作の一つを実行した」と指摘した。

浸透・諜報活動

報告書は、キューバの対米戦略について「非正規かつ秘密裏」の作戦を特徴とする独自のものと位置付けた。

国務省は、キューバが浸透、諜報、破壊工作、代理組織の活用、革命インフラの構築を組み合わせた消耗戦を確立し、「米国を内部から分裂させる」ことを目的としてきたとの見方を示した。

また、キューバ工作員が国防総省、国務省、国家安全保障会議(NSC)の上層部に浸透し、数十年にわたり正体を隠したまま活動していたと指摘。一方で、対米工作で最も成功した分野は思想面であったと分析している。

報告書は、キューバの対外情報機関「情報総局(Dirección de Inteligencia)」について、世界でも有数の人的情報機関(HUMINT)であると評価し、中共政権、ロシア政府、北朝鮮、イラン政権と米国に関する機密情報を共有していると指摘した。

また、過去には米政府の最高機密資料にもアクセスしていたと警告している。

世界規模のネットワーク

報告書によると、キューバは世界各国の政治団体、活動家、知識人を勧誘・育成・動員し、広範な革命ネットワークを構築した。

このネットワークはブラックパンサー党、ウエザーマン、アンティファなど複数の過激派運動の形成に影響を与えたとしている。

さらに、20世紀後半の米国における「極左テロ」の拡大を積極的に後押ししたと強調。現在も社会主義団体、反ICE(移民・税関執行局)団体、左派系非営利団体、マルクス主義武装組織との関係が続いているとしている。

また、1960年代以降、米国の大学への浸透や活動家への影響工作、諜報・影響力ネットワークを通じ、「米国急進左派の形成」に中心的な役割を果たしてきたと指摘した。

思想運動への影響

報告書は、ブラックパワー運動など左派思想の発展にもキューバが関与したと指摘した。

キューバ政権は、キューバ人とアフリカ系米国人を「白人の米国」に抑圧される集団として位置付け、「人種革命」を促そうとしたとし、その流れは1960年代以降も拡大してきたと指摘した。

国務省は、「1960年代半ばに過激な先鋭集団の言葉として始まった思想は、その後に主要な活動家組織、大学の学部、非営利団体、政府機関、公衆衛生官僚機構、さらには主流の政治文化へと浸透した」としている。

さらに、キューバ政権は資源を投入して思想・情報工作のフロント組織を維持・拡大し、これらの団体が米国内で左派活動家や協力者、国内テロリストの育成・訓練・支援に重要な役割を果たしたと警告した。

報告書は、アンティファの台頭、ジョージ・フロイドさん死亡事件後の暴動、大学キャンパスでの左派活動の活発化についても、キューバの影響と関連付けている。

また、コード・ピンク、米国共産党、米民主社会主義者、ナショナル・ロイヤーズ・ギルドなど60以上の団体で構成される「ナショナル・ネットワーク・オン・キューバ」を、米国内左派活動家とキューバ政権を結ぶ重要な組織と位置付けた。

同組織は、米国代表団のキューバ訪問を繰り返し調整するとともに、米国内でのキューバの影響力ネットワーク拡大戦略を議論する会議を開催してきたとしている。

さらに国務省は、同組織が6月に公表した「全国迅速対応計画(National Rapid Response Plan)」にも言及している。

同計画では、米国によるキューバへの軍事行動、またはその恐れが生じた場合、24時間以内に米軍基地、移民・税関執行局(ICE)の収容施設・地方事務所、連邦政府機関に対する「全国一斉行動」を実施する戦略が示されていると説明した。

これまでの経緯

国務省は7月16日、テロの脅威をテーマとした国際会議を開催した。60か国以上の代表を前にルビオ長官は、暴力的な左派組織の脅威は国際的な問題であると述べ、各国政府に連携強化を呼び掛けた。

ルビオ長官は「国境を越えて協力するか、それともテロリストが国境の隙間を利用し続けるかのどちらかだ」と述べた。

また、「キューバ政権の広範な諜報・思想ネットワークは、米国と西半球の極左勢力の形成を支え、現在も欧米各地の極左団体や運動と切り離せない関係にある」と述べ、米国内の暴力的左派組織の台頭をキューバと結び付けた。

トランプ大統領は3月、米国によるキューバ掌握の可能性に言及し、ルビオ長官が対応を担当していると説明した上で、「友好的な形にも、そうでない形にもなり得る」と発言していた。

国務省は7月13日には、キューバ政権の資金源や国民への弾圧に関与したとして、関連する10団体に対する新たな制裁措置を発表している。

なお、エポックタイムズは、ワシントンのキューバ大使館、コード・ピンク、米国共産党、米民主社会主義者、ナショナル・ネットワーク・オン・キューバ、ナショナル・ロイヤーズ・ギルドにコメントを求めたが、掲載時点までに回答は得られなかった。

ティモシー・フラッド(Timothy Frudd)は、エポックタイムズの記者です。