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中国の恒大集団 香港取引所で上場廃止へ 

2025/07/30
更新: 2025/07/31

中国の不動産大手の恒大集団が、まもなく香港証券取引所から上場廃止となる見通しだ。

香港英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、恒大集団は2024年1月29日をもって株式の取引を停止しており、同日、香港高等法院(高等裁判所)は恒大が有効な再建計画を提示できなかったとして、強制的な清算を命じた。香港取引所の規定では、18か月以上取引が停止されている企業は、上場廃止となるため、恒大もその対象となった。

恒大集団は、1996年に実業家・許家印氏によって設立され、2009年に香港市場に上場。かつては中国の不動産バブルを象徴する存在であり、事業は住宅開発にとどまらず、電気自動車やサッカークラブ、テーマパークなど多岐にわたった。

最盛期の2017年には、時価総額が3549億香港ドル(約6兆7431億円)に達し、負債総額は一時3千億ドル(約43兆円)を超え、しかし、2021年に中国当局が「三条紅線」と呼ばれる不動産企業向けの債務規制政策を導入したことにより、恒大の資金繰りは急速に悪化した。建設工事の停止や支払いの遅延が相次ぎ、投資家の信頼は崩壊した。

2021年末には、恒大が海外債券でデフォルト(債務不履行)を起こし、中国の不動産市場全体への不安が世界中に広がった。

2024年1月には、香港の裁判所が恒大の強制清算を正式に命じ、清算人が同社の国内外資産の管理にあたり、取引停止直前の恒大の株価は、0.163香港ドル(約3円)にまで下落し、時価総額も21.2億香港ドル(約403億円)まで縮小した。

独立系アナリストの鄭懐武氏は、「恒大の債務規模があまりに大きく、資産の質も低いため、有効な再建計画を立てるのは難しく、上場廃止は当然の結果」と分析した。

また、香港の投資会社カイユアン・キャピタルの最高投資責任者、ブロック・シルヴァース氏も「恒大はすでに上場企業としての基準を満たしておらず、株主が健全な企業としての回復を期待できるような合理的な再建案は見当たらない」と指摘した。

さらに、米投資銀行ゴールドマン・サックスが6月に発表したレポートでは、中国の不動産市場の低迷は、2027年まで続く可能性が高く、住宅価格はさらに10%程度下落する見込みだとされた。

恒大の破綻は、不動産に過度に依存してきた中国経済の、構造的な課題を浮き彫りにする象徴的な出来事となった。