ロシアと中国による合同軍事演習「海上連合2025」で、中国のキロ級潜水艦の存在がロシア側により公表された。中国共産党は情報統制を強めたものの、結果的に軍事技術や外交戦略の弱点が露呈した。
中共は軍事演習の情報を隠し、ロシアはその詳細を公表した。
先日、中共海軍は艦隊を率いてウラジオストクに到着し、ロシア海軍と合同軍事演習を実施した。
この演習について、中共メディアの新華社は「中露『海上連合-2025』合同演習が開始」と報じたが、参加したキロ級潜水艦「長城210」号については言及を避けた。ロシアはその事実を公表し、新華社の情報統制を無力化した。
時事評論家の沈舟氏は、「長城210」号が7月31日にウラジオストクへ到着していた事実を指摘し、ロシアのメディアが関連する写真や映像を公然と発表していたと述べた。
ロシアがこの行動を取った背景には、過去に核兵器で世界を威嚇した事例がある。これに対し、アメリカのトランプ大統領は二隻の原子力潜水艦をロシアの海域へ接近させた。
対潜水艦演習は極めて敏感な性質を持つため、ロシア太平洋艦隊は「防御的性質であり、特定の国を標的にしない」と声明し、さらに演習科目や両国の参加艦船の一覧を提示した。
新華社が潜水艦の参加を伏せた理由は、中共がロシアよりもアメリカやその同盟国からの注視を恐れたためである。その理由は二つある。
第一に、トランプ大統領がロシア・ウクライナ停戦に向けてモスクワに圧力をかける中で、中共はロシアへの支持を示しつつ、自国への影響を避けたかったからだ。そのため、合同演習は大きく報じたものの、潜水艦に関しては情報を抑えた。
第二に、中共の潜水艦が日本海に出れば、必ず米国、日本、韓国の関心を引く。中共は外部からの圧力が限界に達していると判断し、潜水艦参加の事実を隠した。このような「掩耳盗鈴(「自分に都合の悪い事実から目を背けること)」ともいえる対応は、中共特有の国際姿勢を示している。
中国が隠した潜水艦の正体とロシアの暴露
さらに、「長城210」号はロシアから購入した艦であり、ロシア海域での演習は宣伝に不都合であった。ロシア軍が投入した潜水艦も中共と同じキロ級改良型である。
キロ級潜水艦は旧ソ連が1970年代に設計し、1980年から運用を開始したディーゼル・エレクトリック型(AIP)潜水艦である。冷戦後には改良型が各国に輸出され、沿海での対艦・対潜任務に適した設計となっている。潜水時排水量は3千〜4千トンで、魚雷や巡航ミサイルを搭載可能だが、技術的にはすでに旧式である。
政治的理由により、中共は演習を派手に見せたくなく、軍事的にも古い型で魅力に欠けるため、国営メディアは潜水艦を報じず、ロシアがその事実を広める結果となった。
今回の潜水艦は「自主開発」と称する新型ではなく、ロシアから輸入した旧型である。中共は長年ロシア製原子力潜水艦の入手を求めたが拒否され、旧式キロ級しか得られなかった。その後、自国開発を進めたが、初期には模倣に失敗し、2005年には開発を一時中止した。その後、改良型を追加購入し、模倣を再開して039A/B/C型を量産し、NATOはこれを「元級」と呼び、現在20隻が現役である。
しかし、改良を重ねてもロシア型の影響を完全には拭えず、最新型を投入すれば模倣品との批判を受けかねないため、今回はロシア製を派遣した。
模倣型は対艦ミサイルを搭載しているが性能は遅れており、現在は小型原子炉を搭載した041型(周級)の開発が進む。中共はロシア式通常型の限界を認識し、将来はアメリカのような原子力潜水艦の路線へ移行する意向を持っている。
ロシアと中共 異なる軍事的な思惑
こうした事情から、本演習に関する報道は抑制され、特に潜水艦については沈黙を守った。しかし、ロシアはその情報を利用し、中共の面子を損ねた。
8月6日、ロシア国防省は日本海での合同対潜演習中に仮設した敵潜水艦を発見・撃破したと発表した。表向きは他国を標的にしないとしながらも、演習後には詳細を公開してアメリカへのメッセージとした。中共は利用されている事実を理解しつつも、参加を余儀なくされ、控えめな報道に終始した。
撤収演習では、中露両軍が緊急事態を想定したシナリオを実施した。ロシア国防省は、ロシアの救助隊員が中共側に対して救助技術や医療装備、減圧室、深海救難潜水艇の性能を披露したと誇らしげに発表した。これは中共の海軍が今なおロシアから学んでいる事実を示し、中共が隠したい内容である。
さらに、中共の海軍陸戦隊は本来の任務が台湾上陸であるにもかかわらず、演習で撃退され損害を受けた。中共は本意でない内容でも事前合意に沿って行動した。
結局、中共はかつて割譲したウラジオストクでロシア領防衛演習を行い、秘匿したい事実を暴かれる屈辱を味わった。

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