トランプ米大統領が中国共産党党首習近平との首脳会談を1カ月延期。中国のホルムズ海峡協力拒否、台湾中間線越え軍機26機、イラン支援暴露が背景。キューバ停電危機も絡み、反共産党グローバル戦略が加速。
トランプ氏、中共にホルムズ海峡協力迫る
3月15日、英フィナンシャル・タイムズ紙によれば、トランプ氏は同紙に対し、「中共はホルムズ海峡の封鎖解除を手助けすべきだ」と述べる一方、「自身の訪中日程が延期される可能性がある」とも語った。
フィナンシャル・タイムズの解釈によれば、これは「トランプ氏が習近平に圧力をかけ、護衛同盟に加わるよう迫っている。さもなくば、トランプ・習近平会談は『ドタキャン』される」というメッセージだということになる。
続いて、この件について中共側が記者から問われると、中共側は次のように回答した。
「首脳外交は中米関係において取り替え不可能な戦略的指導的役割を果たしており、中米双方はトランプ大統領の訪中について引き続きコミュニケーションを保っている」と述べた。
この発言を平たく言えば、「わたしたちはトランプ氏側と引き続き意思疎通を図っている。習近平としてはどうしてもトランプに会いたいのだ」という意味になる。
ところがその直後、トランプ氏がみずから前面に出て応じた。
彼は「すでに中国側に対し、会談を1か月ほど延期するよう求めた。いまは戦争中であり、自分はワシントンに残って指揮を執りたい」と述べた。
トランプ氏の説明は、一見するともっともらしく、筋も通っているように聞こえる。
しかしこちら側から見ると、中共側は「ぜひトランプに会いたい。会談を中止されたくない」と望んでいる一方で、トランプ氏は「会談はあくまで延期にとどめる」としており、両者は単に会う時期を先延ばししただけにも見える。
中共の台湾海峡中間線越え:26機侵入の狙い
ただし、関連ニュースを一つ一つ並べてみると、この出来事の裏側には妙な「含み」があることが見えてくる。
まず、3月10日付のブルームバーグの報道によると、中共側は「トランプ・習会談をめぐるアメリカ側の交渉準備が不十分で、進捗も足りない。おそらく台湾など外交問題については話し合いが難しいだろう」と見ており、そのため中共はかなり不満を募らせていたとされる。
続いて3月14日、中共は突然、大規模な軍用機26機を台湾周辺空域に飛来させた。
このうち16機は、あえて台湾海峡の中間線を越えて飛行し、台湾に対する威嚇と恐怖を意図的に演出した。
筆者はこれを、「アメリカに見せつけるために、わざと仕掛けた行動」であると考えている。
一方では「トランプ・習近平会談の準備が不十分だ」という不満を示し、もう一方ではトランプ氏に対して、「あなたが中東戦争で忙しくしている間に、わたしは台湾海峡で戦争を起こすかもしれない。忙しすぎて手が回らなくなってもいいのか。よく考えるべきだ」と圧力をかける狙いがあったのだろう。
イラン外相暴露:中共・ロシアの軍事支援
同じ14日には、イラン外相がメディアに対し、突如として「中共とロシアはイランを支援し、軍事協力を維持している」と暴露した。
詳細には触れなかったが、以前からロシアが衛星情報を秘密裏に提供し、イランの対米軍攻撃を支援しているとの話が伝えられていた。
ロシアはそうした報道を公式には否定してきたが、まさかイラン外相が「勢い余って本音を明かしてしまう」とは予想していなかったのであろう。
米中経済協議:301条調査で対抗圧力
そして15日、アメリカのイエレン財務長官がフランス・パリで中共の何立峰副首相と会談し、トランプ・習会談に向けた経済・貿易協議を行った。
中共側はアメリカに対し、「高関税を撤回してほしい」と要求したが、アメリカ側は逆に「すでに中共に対する新たな301条調査を開始した」と伝えた。
同じ15日、トランプ氏はフィナンシャル・タイムズのインタビューで、「中共は中東海峡の護衛同盟に参加すべきだ」と述べたが、中共側はこれに正面から答えなかった。
そして翌16日、トランプ氏が自らの口で「トランプ・習近平会談は1か月延期する」と最終判断を下したのである。
トランプ・習近平会談延期
これらのバラバラな出来事を時間順に並べてみると、ある種の「流れ」が浮かび上がってくる。
第一に、トランプ氏は「中共が台湾問題を話したがっている」ことは承知していたが、もともと台湾について中共と交渉する気はまったくなかった、という点である。
習近平は「台湾を手中に収める」ことで自らの「中国の夢」を達成したいと考えている。
しかし台湾は、アメリカにとっても国家安全保障上の中核的な利益であり、米側は一歩も譲れない立場にある。
したがってアメリカとしては、台湾問題を真剣に取り上げ、「中共と交渉するための議題」として準備する気はなかったと言える。
中共はそれを察知し、まずブルームバーグを通じて不満をにじませるコメントを流し、さらに26機の軍用機を投入して台湾を騒がせ、「軍事的な圧力」をある程度演出した。
その結果、トランプ氏は「それなら、いっそ今回は話をしないでおこう。後回しにしよう」と判断したのであろう。
第二に、この一連の過程から、トランプ氏が「自分の手札は中共よりはるかに多い」と自覚していることが読み取れる。
中共がアメリカに頼らざるを得ない部分は、アメリカが中共に依存している部分よりも多い。
そのためトランプ氏は焦ることなく、まずは戦争に集中し、その傍らで習近平を「待たせて焦らせる」という戦術を取っている。
これは相手の気勢を抑え込むための、交渉上の心理戦でもある。
第三に、トランプ氏は「中共が陰でイランを支援している」ことを承知しており、そこを意図的に叩きに出ている、という点である。
中共とロシアがイランを支援していることは、アメリカ側も当然把握しているはずであり、少なくとも推測は容易である。
イラン外相自身が、これを誇示するかのように公に語り、「自分たちには中露という軍事的後ろ盾がある」と見せつけた。
さらに中共は、パキスタン経由の山岳ルートを使ってイランに兵器や弾薬を供給し、アメリカを中東に釘付けにして消耗させようとしている。
これに対し、アメリカ側が何の反応もしない、ということはあり得ない。
また、カナダ在住の著名な民主活動家・盛学氏も中共筋から情報を得て、「中共のレーダー技術者三人がイランで爆撃により死亡した」と伝えている。
この人たちは、米軍のF-35ステルス戦闘機のレーダー探知技術を専門に研究する技術者で、中国電子科技集団第14研究所に所属していたとされる。
この情報は公的に確認するのが難しいものの、筆者はかなり高い確率で真実に近いと見ている。
さらに、ネット上では「中国の工場が大量の受注を受け、イラン向けのシャヘド無人機を残業続きで増産している」といった情報も出回っている。
つまり中共は、イランの「バックヤードの兵器工場」のような役割を果たしているのであり、トランプ氏としても何らかの反撃に出ざるを得ない状況である。
以上を踏まえると、トランプ・習近平会談延期の主因は、もちろん「米国・イラン戦争」そのものにあるが、同時に「中共がイランを支援している」という要素とも深く絡み合っていると見るべきである。
キューバ大停電:石油禁輸で共産政権崩壊へ
さて、最後にもう一つ大きな話題、キューバについて触れておきたい。
わたしたちは数日前にもキューバ情勢を取り上げたが、アメリカによる石油禁輸の影響で、キューバは全国的なエネルギー危機と経済危機に陥り、多くの市民が街頭で抗議デモを行っている。
一部では共産党本部に放火する事例も発生しており、「共産政権の退陣」と「国民への自由の回復」を求める声が高まっている。
そして3月16日、キューバ全土で大規模な停電が発生した。燃料がなく、発電ができなくなってしまったのである。
この出来事は、キューバ国民にとっては確かに大災難であるが、一方で「大きな転機」となる可能性もある。
トランプ氏もホワイトハウスで、「自分がキューバを接収できるのは非常に光栄なことだ」と述べ、「いまのキューバは極めて脆弱な国家であり、自分はキューバに対してどんなことでもできる」と発言した。
もちろん、アメリカのルビオ国務長官はすでにキューバ当局と対話を始めている。この対話がどのような結果を生むのか、おそらく今週中には何らかの暫定的な結論が出ると見られている。
では、なぜこの問題がそれほど重要なのか。
トランプ大戦略:中共反米同盟分解の3段階
その背景には、「トランプ氏のグローバルな大戦略が、一歩一歩前に進んでいる」という意味合いがある。
どのような大戦略かと言えば、「反米同盟を分解し、共産党勢力を包囲・殲滅する」というものである。
簡単に整理すると、現在トランプ氏の第一段階は、「中共がラテンアメリカと中東で抱えている主要な代理人を先に叩く」というものである。
そのために、まずベネズエラを「片付け」、アメリカから中共とキューバに輸出される石油の供給を断った。
その結果、キューバへの石油供給もストップし、最終的にはキューバ共産党政権を打倒する方向へと進み始めたわけである。
第二段階は、「中東におけるテロ支援の根源であるイランを叩く」というものである。
現時点でアメリカがイランの専制政権を打倒し、親米的な自由主義政権を樹立できるかどうかは不透明であるが、少なくともアメリカ側が「イランの原油輸出をコントロールし、中共への石油供給を制限したい」と考えていることは確かであろう。
そうすることで、中共の戦略的エネルギー備蓄能力を削ぎ、台湾海峡に軍事介入する野心を抑え込もうとしていると見られる。
第三段階は、「経済的な圧力で中共とロシアを締め上げる」というものである。
もし中東からの原油輸送が正常化すれば、国際的な原油価格は下落するだろう。そうなれば、ロシアの原油収入は大幅に減少する。
一方、中共はイランとベネズエラからの安価な原油を失うことで、輸入原油のコストが上昇し、それが中国国内の物価や経済を直撃する。
「世界の工場」である中国の生産コストは上がり、中共政権にとっては経済問題の火消しがさらに難しくなるであろう。
したがって、「トランプ・習近平会談」「イラン戦争」「キューバの大停電」という、一見バラバラで関係がないように見える出来事は、実は一本の筋でつながった「グローバルな大戦略」の一部であり、世界の構図を大きく転換させる流れの中に位置づけられるのである。

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