中国経済の低迷が深まるなか、地方政府の「知恵」はますます斜め上に進化している。足りない財源をどうするか。答えは「市民からの罰金」である。
河南省焦作市で8月9日、市民の王さんが交差点を歩いていた際、「横断歩道を外れて歩いた」として交通警察から5元(約100円)の罰金を科された。
王さんは「32年間歩いてきて、初めて歩行で罰金を取られた」と憤りを語り、この出来事はネット上で大きな話題を呼んだ。
SNSには「河南はそんなに金に困っているのか」といった皮肉が相次ぎ、経済難に直面する地方政府が罰金を「財源化」しているのではないかとの疑念も広がっている。
似たような「稼ぎ方」は各地に存在し、むしろ増加傾向にある。
河南省洛陽市では交通警察が公共バスに乗り込み、シートベルトをしていなかった乗客に片っ端から罰金を科した。
山東省成武県では貨物トラック運転手に「月額を払えば違反を見逃す罰金パス」を売るという、まるで「定期券ビジネス」のような荒業が報告されている。
さらに上海や安徽省の飲食店では、メニューに「冷やしキュウリ」を出しただけで「営業許可にない」とされ、約6万〜20万円もの罰金を科された事例が報告されている。庶民のささやかな一皿までも、当局の「財源」に組み込まれたのだった。
中国メディアの統計によれば、2021年に公表された111都市の「罰金・没収による収入」は前年から急増し、2020年の2倍以上に膨らんだ都市も少なくない。
もはや罰金は「安全のため」ではなく「財布のため」。経済が冷え込めば冷え込むほど、市民の懐を狙う創意工夫が花開いている。
罰金が安全を守るためではなく、財源を埋めるために乱発される。そんな社会に未来はあるのだろうか。


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