「安かろう悪かろう」が常識。いや、お隣の中国では高いからといって必ずしも良いとは限らない時もある。いや、結構ある。
この頃、中国のネットを騒がせているのは、欠陥だらけの4億円マンションだ。実は「高額なのに欠陥だらけ」というニュースは、中国では大手メディアまで報じる恒例行事。そのたびに世間を騒がせるが、欠陥は少しも減らず繰り返されている。
話題になっているのは浙江省杭州市の再開発エリア「錢江新城(二期)」に建つ高級住宅区「芝瀾月華」に建つ272平方メートルの高級マンション。約4億円を投じたこの新築物件の引き渡し時、専門業者による検査で120もの欠陥が見つかった。

床は傾き(一部空洞)、壁は歪み、大理石の床にはひび割れ、塗装も剥がれていた。極めつけは空調だ。寝室で冷房を2時間稼働させても室温は33度から下がらず、「高級サウナ付き住宅」と揶揄されても仕方のない状態だった。
それでも開発会社・緑城の説明は強気だった。「空調は規格通り。家具やカーテンを取付ければ冷える」という。冷房が効かない理由を「家具やカーテン不足」に求める発想、家具で冷房性能を補うという新理論、物理の教科書を書き換えるつもりだろうか。

購入者の藍さんは3800万円近い費用をかけて「内装パッケージ」を契約していたが、工事は電線が数本通された程度で止まり、デザイナーにも一度も会えていない。豪華な仕上がりを期待した契約は「高額な空約束」に終わった。

「欠陥は欠陥ではなく、不具合もすべて『正常』の範疇に入る」と主張する開発業者を前に、藍さんに残された選択肢はただ一つ。世論に助けを求めることだった。
余談だが、中国では「世論頼み」が最後の手段とされることが多い。いまや現職の警官や裁判官、弁護士ですら、自身の不当な扱いをSNSで告発し、世論の支持を乞う事例が目立つ。圧力にさらされた当局が渋々対応する場合もあるが、一方で14億人が声を上げても救えなかった「鉄の鎖の女性」のように、世論の力が及ばない悲劇も少なくない。
ネット上では「家具で冷えるなら苦労しない」「屁理屈を堂々と押し通せるデベロッパーの鉄のメンタル、正直うらやましい」といった皮肉混じりのコメントが相次ぎ、どこまでも利益優先で品質を軽視する中国不動産業界の体質に批判が殺到している。
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