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香港メディア界大物・黎智英氏の有罪判決 親族が不公正と批判

2025/12/17
更新: 2025/12/17

香港メディア界の大物、黎智英(ジミー・ライ)氏が15日、香港の裁判所で有罪と認定された。これを受け、カナダに住む姪は「これは決して公正な裁判ではない」と語った。

香港紙「蘋果日報(アップル・デイリー)」の創業者である黎氏は、「外国勢力と結託した共謀」および「扇動的な内容の刊行物を共謀して発表した罪」で有罪とされた。

黎氏は、2020年に逮捕された。中国共産党政府が香港で施行した「香港国家安全維持法(国安法)」が適用された。裁判では、3人の裁判官が、855ページに及ぶ判決書の中で、「アップル・デイリー」に掲載された161本の記事を証拠として挙げた。

姪のエリカ・レップ氏はカナダ放送協会(CBC)に応じて、「この結果にはまったく驚いていない」と述べ、その理由として、黎氏の弁護団から以前に「どのような状況でも、結果は変わらないだろう」と聞かされていたことを明らかにした。

レップ氏は、「叔父は見せしめとして扱われてきたと感じている。これまでもずっとそうだった」と話した。

また、「とても悲しい。香港全体のことを思うと、胸が痛む。家族も同じ気持ちだと思う」と語った。

AP通信によると、黎氏の息子である黎崇恩(セバスチャン・ライ)氏は、イギリスに住む家族も裁判所の判断を悲しく思っているが、予想外ではなかったと述べた。

黎崇恩氏は、「800ページ以上ある判決書には、父を有罪とするだけの証拠は、ほとんど書かれていない」と語り、「これは、国家安全法が、政府にとって都合の悪い発言をした人を取り締まるために使われていることを示す、典型的な例だ」と指摘した。

黎氏の有罪認定を受け、いくつかの国の政府が抗議の声明を出した。

イギリスのイヴェット・クーパー外相はXで、「政治的な理由で黎智英氏が起訴されたことを非難する」と述べ、即時の釈放と、十分な独立した医療を受けられる環境を求めた。

クーパー氏は、国安法について「中国政府を批判する人の声を抑える目的で、香港に一方的に導入された法律だ」と指摘した。

今年10月には、カナダのカーニー首相が「カナダは報道の自由を支持しており、黎智英氏の釈放を求める」と発言した。

また、カナダのアニータ・アナンド外相も16日、Xに投稿し、黎氏の即時釈放を求めるとともに、「香港当局が国家安全法を使い、政治的な理由で黎智英氏を起訴したことを非難する」と述べた。

黎氏の量刑を決める裁判は2026年に行われる予定で、国安法の下では、最も重い場合、終身刑が言い渡される可能性がある。