トランプ政権 ベネズエラに中露断絶要求 石油圧力で南米勢力再構築

2026/01/08
更新: 2026/01/08

米国メディアによると、トランプ政権はベネズエラの暫定指導者デルシー・ロドリゲス氏に対し、石油生産と対外輸出を再開したいのであれば、中国およびロシアとの経済・エネルギー関係を断ち切らなければならないと通告した。これは、ワシントンが石油と金融を「てこ」として、ベネズエラの外交および経済の方向を再構築しようとしていることを示している。

米ABCニュースは複数の関係者の話として、トランプ政権がベネズエラに「石油増産を望むならば、中国、ロシア、イラン、キューバの関係者を追放し、これらの国々との経済関係を断絶しなければならない」と明確に伝えたと報じた。

同時に、ベネズエラには石油生産において米国との独占的協力関係に合意し、原油販売でも米国を優先的に考慮するよう求めている。

石油タンカー満載で財政破綻迫る 米国の最大てこ

関係者の一人によれば、米国務長官マルコ・ルビオ氏は5日、非公開の説明会で議員らに対し、「既存のタンカーがすでに満載であるため、米国はベネズエラに譲歩を迫ることができる」との確信を示したという。米側の試算では、原油備蓄が販売できなければ、ベネズエラは数週間のうちに財政破綻に陥る恐れがあるとされる。

米上院軍事委員会委員長ロジャー・ウィッカー氏もABCニュースの単独取材で「米国の計画の核心は地上部隊の展開ではなく、石油の流れを掌握することにある」と述べた。

同氏は「政府は石油の管理を本気で考えている。船舶やタンカーを完全に掌握し、いかなる船もハバナ(キューバの首都)へ向かうことを絶対に許さない」と強調した。

さらに「タンカーはすでに満載で、これ以上原油を積み込む余地がない。私の得ている情報では、ベネズエラはもはや原油をくみ上げられない。貯蔵先も輸送先もなく、タンカーは満載のまま、仕向け地を待っている。我々は原油を中国にただ同然で供与するのではなく、公正な市場で販売することを望んでいる」と語った。

ウィッカー氏は、現段階で米軍の派遣は計画に含まれていないと重ねて強調した。

ワシントンによる石油制限の影響は連鎖的に広がっている。キューバは長年ベネズエラの石油供給に依存してきたため、専門家は「供給が途絶すれば、キューバは極めて脆弱な状態に陥る」と指摘している。

キューバ・イランも標的、南米情勢転換期に

米政治専門メディア「Politico」は5日付で、米国のロドリゲス氏に対する期待は単にエネルギー分野にとどまらないと報じた。米政府関係者によると、米国は同氏に対し、麻薬取引の取り締まり、米敵対勢力の工作員追放、そして米国の敵対国への石油販売停止を求めているという。

ルビオ国務長官も4日に「われわれは条件を設定するだろう。この半球に、イランやヒズボラなどの勢力の拠点となるベネズエラが再び存在し、麻薬組織を流入させることを許すわけにはいかない」と表明した。

6日には、フランスの外貿銀行 米州担当チーフエコノミスト、ベニト・ベルベル氏らがシンポジウムを開催。専門家らは、最近の米国の戦略はトランプ外交の本質に沿うものであり、「経済と商業的利益を最優先し、西半球に再び焦点を当てる」方針であると指摘した。

彼らはまた、米国の戦略が「勢力圏」の概念を再び前面に押し出し、この地域における米国の指導的地位を確立しようとするものだと分析した。

報告書は、今後トランプ政権がベネズエラへの介入を正当化する理論構築を進め、それが「現在の政策決定の中で最も長期的な遺産の一つとなる可能性がある」と指摘している。

ロドリゲス政権は依然として「チャベス主義(「21世紀の社会主義)の延長」とみなされているが、専門家らは「今後の優先課題は米国によって決定される見通しだ」と分析している。

新指導者の微妙な立場 資産をめぐる圧力も

ロドリゲス氏は、米国の戦略上「鍵を握る人物」と位置づけられている。

関係者によると、トランプ陣営は「この新指導者を厳格にコントロールできる」と自信を示しているという。その背景として、ロドリゲス氏の主要資産がカタールにあり、これが米国による政治的圧力の材料となっていることが挙げられる。

トランプ政権の一期目にベネズエラ特使を務めたエリオット・エイブラムス氏は、ロドリゲス氏がトルコにも資産を保有していると明かした。

同氏は「米国はロドリゲス氏やその他の関係者に対し、強力な『てこ』を握っている」と述べ「われわれがすでにカラカスの中心部で人を拘束できることを証明している」と強調した。

さらに「米国がカタールやトルコ政府と、彼女の資産について協議していると伝えれば、それ自体が重大な脅威となるのは明らかだ」と語った。

政治面では、ワシントンは最終的に自由選挙の実現を期待しているものの、現時点では具体的なタイムラインを設けていない。米側は短期的な選挙協議は時期尚早との立場を示しており、選挙は当面の優先事項ではないとしている。

トランプSNS発表 原油5千万バレル引き渡しで新時代

6日、トランプ大統領はSNS上で、ベネズエラの「暫定当局(interim authorities)」が米国に3千万〜5千万バレルの原油を引き渡すと表明した。この原油は米国側が市場価格で販売し、その収益(約2700億〜4400億円)は米国が管理するとしている。大統領は「この資金はベネズエラ国民と米国民双方の利益のために活用される」と述べた。

陳霆