米国のWHO脱退の背景 トランプ氏が語るパンデミックの裏側

2026/01/26
更新: 2026/01/26

22日、アメリカは世界保健機関(WHO)から正式に脱退した。前日には、トランプ米大統領がスイス・ダボスで開催された世界経済フォーラムに出席し、第一期目の任期中に発生したパンデミックについて言及した。

トランプ氏は、「突然、部下から『パンデミック』だと報告を受けた」「武漢には至る所に遺体があり、我々が以前言及した建物の周囲もそうだった」と話した。

また、「私はずっとウイルスは武漢からきたと言っていた。その遺体は遺体袋に入れられていた。我々は衛星で確認した。中国では奇妙なことが起きていると言われた。こうして事態は始まり、結局世界はパンデミックに直面した」と述べた。

WHOが中共と共に真相を隠蔽

トランプ氏によるWHO脱退はパンデミックと直接関連している。コロナウイルスは2019年11月末に武漢で発生したが、中国共産党(中共)は真相を隠蔽し、アメリカや世界を欺いた。12月30日、「コロナウイルスの内部告発者」と呼ばれる武漢の医師・李文亮氏が、自身の微信(ウィーチャット)で2003年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き合いに注意を呼びかけたところ、即座に当局から圧力を受けた。

12月31日になってようやく中共はWHOに武漢での肺炎の流行を報告した。しかしWHOは事実上、中国外交部のスポークスマンを担い、中共政権の対応を公に称賛。2020年1月14日には、武漢での新型コロナについて「人から人への感染は確認されていない」と発表した。

2020年1月23日、武漢はロックダウンされた。人口1100万人の都市を封鎖するという、近代公衆衛生史上初の措置であった。しかしWHOが「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言したのは1月30日であり、中国への渡航・貿易禁止は推奨せず、パンデミック宣言は3月11日まで待たされた。この間、WHOのテドロス事務局長は中共の感染防止対策を繰り返し称賛していた。

中共とWHOによる隠蔽によって、アメリカと世界は感染防止対策における「黄金期」を逃し、ウイルスによる甚大な被害を被った。

トランプ氏が独自情報で先手 中国渡航禁止を強行

トランプ政権は独自の情報源を保有しており、前述の衛星情報や国家安全保障副顧問が中国で得た個人的関係による情報などを持っていた。2020年1月31日、トランプ氏は反対を押し切り、中国からの渡航者を対象とした「旅行禁止令」を発令。感染リスクのある入国者を一時停止した。しかし手遅れであり、アメリカ内で感染拡大は続いた。

トランプ氏は怒りを募らせ、新型コロナを「China Virus」と呼ぶこともあった。2020年7月6日、アメリカは国連事務総長にWHO脱退を通知、同決定は2021年7月6日に正式発効。2020年9月22日には、国連総会で中共をコロナ感染拡大の元凶と批判し、「世界に疫病をもたらした国として責任を問うべきだ」と訴えた。

WHO脱退は単なる一手 再加入の可能性も

2021年1月20日、バイデン政権が発足すると直ちに脱退を取り消した。しかし2025年1月20日、トランプ氏は再び大統領に就任すると即座に大統領令に署名し、アメリカのWHO脱退を宣言した。「WHOは武漢発のCOVID-19やその他の世界的衛生危機への対応を誤り、必要な改革を行わず、他国の政治的影響下で中立性を保てなかった」と理由を説明した。

1月25日、ラスベガスでの集会でトランプ氏は、中国とWHOの関係についても言及。「我々は毎年5億ドルを支払うが、中国は3900万ドルしか出さない。人口14億の中国がこれだけで、我々は5億ドル……。もし中国が多く支払えば再加入もあるかもしれない。ただし改革が必要だ」と述べた。

WHO脱退はあくまで戦略上の一手であり、アメリカは今後もWHOとの協力関係を維持する可能性がある。過去にはレーガン政権がユネスコ脱退(1983年)、2003年に再加入した例もある。

トランプ氏の二つの選択肢

WHO脱退の目的の一つは、中共政権へのコロナに関する責任追及の道を打開することになる。戦略上、米中直接対決により中共はWHOを盾に使えなくなる。トランプ氏には二つの主な手段がある。

第一 パンデミックの起源追及
自然発生説と武漢研究所流出説がある中、トランプ氏は一貫して後者を主張。2025年1月、CIAはCOVID-19が中国研究所の由来があるとの報告を公表し、ホワイトハウスは改訂版Covid.govで「真の起源は中国の研究所流出」と明示した。中共による初期隠蔽と後のデータ破棄により証拠収集は困難だが、アメリカは衛星画像や情報筋などで一定の裏付けを持つとみられる。

第二 ミズーリ州による賠償請求支援
2020年4月、ミズーリ州は中共の初期対応の不備を理由に訴訟を起こした。2025年1月27日、アメリカ東部連邦裁判所で審理が行われ、3月7日に判事が中共政府に対し、初期隠蔽と防護物資蓄積への責任として240億ドル以上の賠償を命じた。ミズーリ州司法長官は「中共が出廷しなくても、苦痛と経済損失から逃れられない」と強調し、資産差押えも検討している。

中共への対応はトランプ氏の第二期の最大課題である。コロナの責任追及を含む戦略は進行中であり、戦略的には米中関係全体を視野に、戦術的には証拠と法的障壁の把握に依存する。主導権はトランプ氏にあり、中共側は対応に追われる状況が続くとみられる。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
王赫