臓器移植 止まらぬ若者失踪と説明なき移植 広がる疑念と恐怖

中国医師の怖すぎる会話  「順調にいけば若い心臓に替えてあげますよ」

2026/03/04
更新: 2026/03/04

「順調にいけば、若い心臓に替えてあげますよ」

中国の病院で交わされたこの一言が、社会に強い衝撃を広げている。

心臓移植をめぐる医師と患者家族の会話が動画に残され、それがネット上に流れた。

家族が費用を尋ねると、医師は「総額で30万元余り(約680万円弱)。保険適用後は自己負担が十数万元(約300万円)」と説明した。女性患者は「そのくらいなら大丈夫です」と応じ「胸が締めつけられて苦しい」と訴えた。

医師は心機能の低下や不整脈の進行を説明し「数日中に検査を急ぐ」と語った。その流れの中で、笑みを浮かべながら口にしたのが冒頭の言葉だった。軽い冗談ではない。淡々と、自然に、あたかも供給が当然に確保されているかのような前提で語られた一言だった。この「当然さ」が、多くの視聴者を凍りつかせた。

 

中国の医師と患者のやり取りを伝える映像。「順調にいけば、若い心臓に替えてあげますよ」との発言が記録されている。(映像よりスクリーンショット/合成)

 

動画が拡散すると、中国のネット上では怒りと恐怖が一気に噴き出した。

「白衣を着た悪魔だ」
「若い心臓はどこから来る」
「供給が前提なのが怖すぎる」
「全国で消えた若者たちはどこへ行った?」
「医者と患者家族だけが喜んでいるが、聞いているこちらは震えが止まらない」

背景にあるのは、近年、中国各地で止まらない子どもや若者の失踪である。もはや一部地域の出来事ではなく、社会問題として語られる段階に入っている。

町を埋め尽くす監視カメラは、政府を批判する市民を特定する時には驚くほど素早く機能する。しかし、失踪事件の決定的な場面になると、なぜか「映っていない」

いまでは市民の間で、監視カメラはこう呼ばれている。

「選択的に失明する、党性の強いカメラ」

ここでいう「党性」とは、党や政府の利益を最優先にするという意味だ。都合のよいものは映すが、都合の悪いものは映らない、そんな皮肉である。消えた若者たち。説明できない臓器供給。この二つの現実を前に、人々は偶然と呼ぶことをためらい始めている。

実際、海外の華人ネットだけでなく、中国国内のSNSにも、失踪と臓器狩りの関連をほのめかす動画や投稿があふれている。そこでは子どもや若者が「零件(部品)」と呼ばれ「子どもを守れ」「若者から目を離すな」といった警告が繰り返されている。

「零件」は本来、機械の部品を意味する言葉だが、ネット上では臓器を指す隠語として使われている。医療は本来、命を救うためのものである。だが、「若い心臓」という言葉が当然のように口にされた瞬間、多くの人が感じたのは本能的な恐怖の反応だった。その心臓は、誰のものなのか。そして、それは本当に「提供」なのか。

 

教育現場まで広がる臓器提供政策

さらに不安を広げているのが、教育現場での動きだ。2020年以降、中国では臓器提供の啓発活動が学校に広げられてきた。大学生だけでなく、小中学生までもが臓器提供を誓う様子がネット上に流れ、多くの保護者に衝撃を与えた。

 

中国の学校で行われた臓器提供の啓発イベント(ネットより)
中国の学校で行われた臓器提供の啓発イベント(ネットより)

 

保護者に十分な説明がないまま行われたとされる血液検査が各地で相次いで報告され、小学校の試験問題にまで臓器移植に関する設問が含まれるようになったとの指摘も出ている。保護者の間に広がっているのは、戸惑いではない。明確な不安だ。

なかには「子どもを臓器狩りから守るために学校へ通わせるのをやめる」と公言する保護者も現れ、その投稿が拡散する事態にもなっている。疑念は、静かに行動へと変わり始めている。恐怖は、すでに言葉だけのものではない。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!