英国は「未曾有の地政学的転換に直面」 国家型サイバー攻撃が急増=英当局

2026/04/22
更新: 2026/04/22

英国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)のトップ、リチャード・ホーン氏は22日、英グラスゴー大学で開催された年次会合「サイバーUK」で演説し、国家が関与するサイバー攻撃が急増していることを念頭に、英国が「現代史上最も激しい未曾有の地政学的転換」に直面しているとの認識を示した。

同氏は、英国を標的とする国家主導のサイバー攻撃が急速に増加しており、その主要な主体として中国共産党、ロシア政府、イラン政権の3つを挙げた。

従来の地政学は、領土・海・空など「目に見える空間」が中心だったが、現在は電力網・金融・通信・行政システムなどを狙うサイバー攻撃が、国家の安全保障を直接左右する領域になっている。

ホーン氏は、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)などの犯罪活動が依然企業にとって一般的な脅威である一方で、英国家サイバーセキュリティセンターが対応する「国家的に重大な事件」の大半は、敵対国家に直接または間接的に起因していると指摘した。

統計によれば、英国は現在、週平均4件の重大なサイバーセキュリティ事案に直面している。英国家サイバーセキュリティセンターの最新年次レビューでは、2024年9月から昨年8月までの期間に、全国規模のサイバー攻撃が204件確認されており、前年度の2倍以上に増加したという。

中共のサイバー攻撃は「極めて高度」と警鐘

ホーン氏は特に中共のサイバー能力の進化に言及し、中共の「情報機関および軍事組織は、現在のサイバー活動において極めて高度で洗練された能力を示している」と警告した。

さらに「国家全体を動員するようなアプローチにより、単なる強力なサイバー脅威にとどまらず、サイバー空間における対等な競争相手となりつつある」と述べ、警戒感を強めた。

ロシアについては、ウクライナ侵攻で蓄積されたサイバー戦術が他国でも転用され、英国や欧州の資産に対する継続的なハイブリッド攻撃に用いられていると指摘した。

またイランについては、「ほぼ確実に」英国国内にいるイラン政権の脅威とみなす人物に対し、サイバー活動を通じて抑圧を行っていると述べた。

ホーン氏は、近年の世界的な紛争状況を踏まえ、「サイバー行動はもはや衝突の不可分の一部となっている」と強調し、「サイバーセキュリティは後方防衛線そのものだ」と述べた。

同氏はさらに、人工知能(AI)の急速な発展と地政学的緊張の高まりが重なり、「不安定で予測困難な時代」を生み出していると警告した。

技術の進化に伴い、サイバーセキュリティの対象も拡大しており、従来の情報システムに加え、ロボットや自律システムの制御技術なども保護対象に含まれるようになっていると説明した。

また、最先端のAIモデルが既存システムの脆弱性を大規模かつ迅速に発見・悪用するために利用されているとし、相手の能力が飛躍的に向上している点を指摘した。

これにより、サイバー攻撃の速度と規模が拡大する一方、防御側が未対応の脆弱性もより早く露呈する恐れがあるという。

陳霆