楽しみにしていた音楽フェスが直前で中止になる。そんな事態が中国で相次いでいる。
中国メディア「南方都市報」によると、不完全な集計ながら、2026年はすでに少なくとも10件の音楽フェスが中止または延期となり、その多くがここ1か月に集中している。
中には開催直前に発表されるケースもあり、10件のうち7件は交通費や宿泊費の補償を打ち出しているが、突然のキャンセルに戸惑いの声が上がり、不満は広がっている。
2025年も50件以上が同様の事態に追い込まれており、中止や延期が相次ぐ状況が続いている。
中止理由の多くは曖昧だ。今年の10件のうち天候など具体的な理由を挙げたのは2件のみで、残りは「いわゆる『不可抗力』」などの説明にとどまり、観客の不信感を招いている。
業界関係者は本紙の取材に対し、実際の原因はチケットが売れないことにあると指摘する。
関係者によると、数百万元(数千万円規模)を投じても、チケットが数十枚しか売れないケースもあるという。中国では事前に出演料の半額以上を支払うのが一般的で、会場や設備の費用も先払いとなるため、売れなければ大きな赤字になる。そのため、かかった費用を回収できないと判断した時点で中止を選ぶしかない。
なぜ売れないのか。まず背景には景気の悪化がある。企業の広告費が減り、スポンサーが集まらない。地方政府の補助金も縮小しており、資金不足で開催を断念するケースが増えている。
さらに内容面にも課題がある。音楽関係者は、人気アーティストへの過度な集中を挙げる。限られたトップ歌手に資金が偏り、出演料は高騰する一方で、実際の集客力と見合っていない。また、似たような出演者が並ぶことで内容が単調になり、観客の飽きも進んでいるという。
こうした状況の中で、フェスの中止が増えたことで、観客側も慎重になっている。「どうせまた中止になる」と様子見する人が増え、チケットがさらに売れなくなる。この悪循環が、次の中止につながっているとみられる。
イベントの中止が続く今の状況は、音楽業界だけでなく、社会全体の消費の弱さを映している。
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