中国AI投資に金融危機リスク 中国人民銀行元総裁が警告

2026/10/22
更新: 2026/10/22

近年、中国共産党(中共)はAI分野に巨額の資金を投じている。中国人民銀行の周小川・元総裁は、AI投資が失敗した場合の金融市場への影響を分析し、危機に備えた対応策を検討する必要があると訴えた。

中国メディアによると、周小川は10月20日、「2026外灘年会(バンド・サミット)」で、現在AIや関連インフラに巨額の資金が流れ込んでいると指摘した。一部の投資が失敗して金融市場が混乱すれば、経済危機に発展する恐れがあり、その場合は経済を支えるための大規模な対策や、一部の金融機関への救済措置が必要になるとの見方を示した。

周小川は「現在、AIの活用を進め、生産性を向上させる道筋はいくつかあるが、同時にリスクも伴う」と述べた。

特に、多額の投資が集中しているデータセンターの建設について、今後、大規模AIモデルや関連サービスがデータセンターの計算能力にどこまで依存するかは不透明だと語った。

公開資料によると、中共は第15次5か年計画(2026~2030年)期間中、AIの計算処理を支えるインフラ網の整備に、新たに4兆元を直接投資する計画を立てている。

一方、中国国内で稼働しているAI計算センターのGPU平均利用率は30%未満にとどまり、企業向け汎用データセンターの利用率も10~15%にすぎない。

業界関係者は、年間運営費が3千万元に上りながら、利用率が30%に満たないAI計算センターは、金融面で潜在的な信用リスクを抱えていると分析している。

中国のAI投資ブーム 国有企業や地方政府が主導

現在、中国のAI投資ブームを主に支えているのは、国有企業や地方政府の資金だ。

最近、100億元規模の「陝西社会保障科学技術イノベーション株式投資基金(第1期)」が正式に設立した。同基金は先端技術やAI産業への投資を目的とし、中銀資産、長安匯通、西安高新金控など、中央および地方の国有企業が参加している。

上海市浦東新区が発表した「2026年ベンチャーキャピタル業界白書」でも、AI産業への資金流入が他の分野を上回っていることを示した。

また、国有資本が出資する上海交通大学AI未来基金や無錫データグループなどは、ロボットなどを通じて現実世界で動作するAI技術を開発する地元企業「穹徹智能」に、共同で数億元を出資した。

こうしたAI投資の急拡大に対し、専門家や金融機関からは潜在的なリスクを懸念する声が上がっている。

データセンターの稼働率の低さに加え、専門知識を持たない地方政府幹部が投資を主導する問題、AI関連産業の成長と消費低迷の隔たり、水不足なども懸念されている。

AI投資に走る地方政府 企業経営への影響も

英BBCは以前の報道で、政府資金が中国のAI市場を支える一方、企業経営や市場の仕組みにも影響を及ぼしていると分析した。

地方政府は出資によって企業の株主となり、経営判断にも影響力を及ぼすようになっている。

その結果、起業家は「資金を受け入れて事業を存続させるか」「経営の自由を維持するか」という難しい選択を迫られている。

BBCはまた、地方政府がAI投資によって財政収入を増やすことは容易ではないと指摘した。

香港中文大学の荘太量・経済学副教授によると、土地売却による財政収入が急減するなか、株式投資では差し迫った財政難を補えない。

土地使用権の売却による収入は、その年の財政収入となる。一方、株式投資では資金の回収まで通常7~10年かかる。初期段階では支出が先行し、投資資金を回収するには、投資先企業の新規株式公開(IPO)や企業買収などを通じて保有株式を売却する必要がある。

一方、米金融大手シティグループは調査報告書で、AI主導の製造業投資が拡大を続ける一方、国内の消費需要は一段と弱まっていると指摘した。

AI関連の生産や投資が拡大する一方、消費は低迷しており、中国経済の成長に偏りが生じている。

AIデータセンター建設ラッシュ 水不足に拍車か

AI投資には、もう一つ大きなリスクがある。AIを支えるデータセンターが大量の水を消費することだ。

大紀元のコラムニスト、ジェームズ・ゴリー氏は10月13日付の記事で、この問題を取り上げた。

中国各地ではデータセンターの建設競争が激化しているが、国内のデータセンターの72%が水不足の深刻な地域に立地しているという。

ゴリー氏は、すでに深刻化している水不足をさらに悪化させることなく、中共がAIインフラを拡大できるのかと疑問を呈した。

記事では、水不足が2030年代の中国におけるAI産業の拡大を制約する最も重要な要因の一つになり得ると分析している。

AI産業だけでなく、工業、農業、生活用水の需要を満たすために必要な量の淡水を、新たに確保することは難しいためだ。

さらに、エネルギー調査会社ライスタッド・エナジーは、中国のデータセンターの電力消費量が2025~2030年に年平均約19%のペースで増加すると予測している。

任義