中国 「宿題の外注」で考える時間が消えた

AI学習の功罪

2026/10/31
更新: 2026/10/31

子どもが宿題を早く終え、間違いも減った。親なら、学力が伸びたとうれしくなるだろう。しかし、その答えを考えたのが子どもではなく、AIだったらどうだろうか。

中国で中高生約2万7千人を30カ月追跡したところ、AIを使う生徒は宿題の点数が上がる一方、試験の成績は下がっていた。研究は、ストックホルム大学と香港大学の研究者が共同で行い、欧州の経済研究機関CEPRが公表した。

AIを使い始めて半年後、宿題の点数は平均18%上昇。かかる時間も64分から約45分に短くなった。ところが、教科書などを見ずに解く試験の成績は平均20%下がった。

多くの生徒が、中国製AIの「豆包(ドウバオ)」や「DeepSeek」を利用していた。AI利用者の約8割は、短時間で宿題を終えながら、高い点数を取っていた。

研究チームは、こうした生徒が宿題の多くをAIに任せる「宿題の外注」をしていた可能性が高いとみている。

長く使うほど差は広がり、約2年後には、AIを使わない生徒より高校入試の得点が24%、大学入試が18%低くなった。

ただし、AIそのものが悪いわけではない。AIを使っても、以前と同じくらい宿題に時間をかけた生徒は、使わない生徒と試験成績に大きな差がなかった。

問題は、分からないところをAIに教えてもらうことではない。最初から答えを出してもらい、自分で考える時間までなくしてしまうことだ。

これは中国だけの話ではない。日本でも、子どもは簡単に生成AIを使える。

完成した宿題だけを見て安心するのではなく、「なぜそう考えたのか」「自分の言葉で説明できるか」を確かめる必要がある。

見栄えよく仕上がった宿題よりも、間違いながら自分で考えた時間のほうが、子どもの本当の力になる。中国で起きている変化は、日本の家庭や学校にとっても他人事ではない。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!