中国 識者が読み解く政治混乱と社会の変化

4文字で見る中国2025年

2026/01/01
更新: 2026/01/01

2025年の中国は、政治、経済、社会のあらゆる面で不安定さが目立った1年だった。
こうした状況を受け、中国問題に詳しい識者たちが、それぞれ「2025年を象徴する漢字」を挙げた。

選ばれたのは、「乱」「震」「変」「塔」の4文字である。

 

「乱」 政治も外交も混迷した1年

中国情勢の評論家・蔡慎坤 (さい・しんこん) 氏は、2025年の中国を「乱」で表した。

蔡氏は、軍の上層部を含む権力中枢が相次いで揺れたことに加え、中国経済の低迷が続いた点を指摘する。

外交面でも混乱は深まった。
特に米中関係は、麻薬問題に加え、中国製品が極端に安い価格で大量に米国へ流れ込んでいることや、他国を経由させて中国製と分からない形で輸出し、関税や規制を避ける、いわゆる「抜け道貿易」を巡って対立が激化した。

日本との関係についても、かつては中国側が一定の期待を寄せていたが、今では自らの強硬姿勢によって、日本を完全に対立する相手に押しやったと分析する。

台湾海峡を巡る情勢は不安定さを増し、軍事演習が繰り返される中で緊張が常態化した。蔡氏は、混乱を利用して主導権を握ろうとすれば、その代償は必ず中国自身に不利益として返ってくると警告している。

 

蔡慎坤氏。(動画よりスクリーンショット)

 

「震」 崩れる直前の大きな揺れ

米国在住の経済学者、李恆青(り・こうせい)氏は2025年の中国を表す字に「震」を選んだ。

李氏は、2025年の中国はあまりにも混乱が激しく、政治、経済、社会のあらゆる面で大きな揺れが起きていると指摘する。
その状態は、山が崩れ、地面が割れる直前のようで、まだ完全に爆発していないだけだという。

実際、多くの人の給料が下がり、家や土地、貯金の価値も減った。
これまで普通に暮らしていた中間層まで、急に生活が苦しくなった。

特に深刻なのが仕事の問題だ。
約3億5千万人いる出稼ぎ労働者が、2025年10月ごろから仕事を失い、次々と故郷へ戻った。李氏は、この光景を「非常に異常で、恐ろしい」と表現している。

当局は、戻った人たちが農村に長くとどまることを認めていない。
しかし仕事も収入もない人が大量に生まれ、再び大規模な貧困が広がるのは避けられないと李氏は警告する。その結果、社会の不安定化が進み、犯罪はすでに増え始めているという。

李氏は、「体制がすぐに崩れるとは限らない。しかし今の中国は、役人のやる気、人々の気持ち、軍の安定が、同時に揺れている」
と強い危機感を示している。

 

李恆青氏。(動画よりスクリーンショット)

 

「変」 民衆の意識が大きく変わった

中国情勢の評論家、唐靖遠(とう・せいえん)氏は「変」を挙げた。

唐氏は、2025年に政権内部で重大な変化が起き、最高指導者の権力が以前ほど安定していないと指摘する。

同時に、民間でも大きな意識の変化が見られた。
政府が世論を誘導しようとしても、以前のようには機能しなくなっているという。

例として、反日感情をあおる試みがネット上で支持されず、逆に冷ややかな反応や皮肉が相次いだことを挙げた。

日本の政治家が資産を公開したことをきっかけに、日本社会や政治姿勢を評価する声が中国のネット上で広がった点も、これまでにない変化だと分析している。

唐氏は、こうした意識変化の大きなきっかけとして、中国人俳優アラン・ユー(于朦朧)が亡くなった事件を挙げた。この出来事が若者層に強い衝撃を与え、権力と社会の現実に目を向ける人が増えたという。

 

唐靖遠氏。(動画よりスクリーンショット)

 

「塔」 検閲の壁を越えようとする動き

中国共産党・政府が民主化運動を武力弾圧した1989年の天安門事件で学生リーダーを務め、現在は人権団体「中国人権」の代表を務める周鋒鎖氏は、2025年を象徴する字に「塔」を選んだ。

周氏は、中国社会そのものが「塔型社会」だと説明する。
少数の権力者が上に立ち、大多数の人が下に置かれ、中国共産党は「権力」「うそ」「恐怖」によって、この構造を保ってきたという。

しかし、その「塔」にはもともと正当性がなく、今では中身が空洞化し、崩れそうな状態にあると指摘する。

2025年に入って経済が悪循環に陥り、これまで中間層にいた人たちが次々と下の層へ押し流され、一度落ちると抜け出せない状況が広がっているという。

この「塔」は同時に、中国のネット上で使われる「沖塔」も意味する。
言論統制や検閲という「越えてはいけない壁」に、あえて挑もうとする行為のことだ。

2025年後半には、あだ名や言葉遊び、皮肉を使って政治や指導者をからかう動きが目立つようになった。人には意味が分かるが、自動検閲では見つけにくい形が多いのが特徴だ。

周氏は、経済悪化で不満が積み重なる中、こうした動きが2026年にさらに広がる可能性があると指摘している。

 

中国共産党・政府が民主化運動を武力弾圧した1989年の天安門事件の学生指導者で米国在住の周鋒鎖氏(大紀元/李沁一)

 

静かだが確実に積み重なった1年

4つの漢字が示しているのは、中国社会がすでに大きな転換点に入っているという現実である。

2025年、中国は突然崩れたわけではない。
しかし、政治の混乱、経済の揺れ、人々の意識の変化、そして静かな抵抗は、確実に積み重なった。

識者たちが選んだ4つの漢字は、その1年を端的に表している。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!