台湾・香港 映っていたのは台湾の監視カメラ映像だった

中共軍「ここまで来ている」? 「台北101」見下ろす映像

2025/12/31
更新: 2025/12/31

中国共産党(中共)軍が台湾上空を無人機で偵察したかのように見せた映像が、実際には台湾側の監視カメラ映像だった可能性が高いとして、台湾で失笑と困惑が広がっている。

中共軍東部戦区は12月29日、「正義使命2025」と名付けた台湾包囲を想定した大規模な軍事演習を開始した。
台湾周辺で陸海空・ミサイル部隊を動員し、いかにも「本気だ」と言わんばかりの構えを見せた。

それに花を添えるかのように、中国国営の中央テレビ(CCTV)は、「中国軍のドローンが台北市中心部を飛行し、台北101ビルを上空から撮影した」とする映像を堂々と放送した。

台北101は台湾を象徴する超高層ビルである。
日本で言えば、外国軍のドローンが東京タワーの真上を飛んだ、と言われるようなものだ。そこを「見下ろす映像」が本当であれば、かなり刺激的な話になる。

ところが、その「迫力あるはずの映像」は、あまりにも見覚えがありすぎた。

台湾の軍事関係者や専門家が確認すると、映像の角度や高さは、台北市内の高台に設置され、台湾側が日常的に公開している固定カメラの映像とほぼ完全に一致していた。

つまり、中共軍が危険を冒して飛ばしたドローンではなく、台湾側が平常時に公開している「見慣れた風景」だった。

要するに、中国は「我々はここまで来ている」と伝えたかったが、実際に示せたのは「他人のカメラ映像」だった。

台湾の国防当局はこの件を「典型的な認知戦(情報操作)」と説明し、中国の大型ドローンが台湾の警戒ラインを越えた事実はないと淡々と否定した。

専門家の間からは、
「実際に飛ばせないから、映像だけ飛ばしたのではないか」
「軍事力誇示というより、映像演出の発表会だ」
といった、かなり辛辣な見方も出ている。

軍事力を誇示するための映像が、結果として「他国の監視カメラ映像」だったと判明した今回の騒動は、中国の情報戦の実態を象徴している。

強い言葉、派手な映像、仰々しい演習名。
その一方で、実際に使われたのは、他人のカメラだった。

威圧を狙ったはずの演出が、かえって現実との落差を浮き彫りにした形だ。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!