昨年10月下旬に自民党総裁に高市早苗氏が選出され、日本初の女性首相に就任した。以前、台湾の李登輝元総統が高市氏に対し「あなたは日本初の女性首相になる」と直接語ったことがあり、この言葉は年月を経て「予言」として注目されている。
著名な時事評論家の曹長青氏が共著した『日本最初の女性首相 高市早苗 「強い日本」を再び築く維新』の出版記念会が台湾で4月11日に開かれ、曹氏はこの李登輝氏の話に言及し、政治家は票ではなく理念を軸にすべきだと強調した。また台湾にとっても、国際情勢の変化に目を向けるだけでなく、理念と原則を備えた政治家の育成が重要だと指摘した。
曹氏によれば、高市氏は政治家一族の出身ではなく、両親はいずれも一般人であり、限られた資源の中で日本の政界に台頭したことは「極めて容易ではない」という。その背景には、「不平を言わない姿勢」や制約の中でも努力を続ける粘り強さといった人格的要素があると分析した。
さらに、成長過程において「師を選ぶこと」が極めて重要だったと指摘する。高市氏は生涯で6人の人物から大きな影響を受けており、実業家の松下幸之助、安倍晋三元首相、台湾の李登輝元総統、イギリスのマーガレット・サッチャー元首相、シンガポールのリー・クアンユー元首相、そしてアメリカ建国期の政治家アレクサンダー・ハミルトンである。これらの人物は価値観や国家戦略、指導スタイルの面で高市氏に深い影響を与えたという。

中でも李登輝氏の影響は特に大きい。曹氏によれば、高市氏は李氏と10回以上面会しており、李氏は繰り返し「日本初の女性首相になるべきだ」と語った。その理由として「武士道精神」、すなわち責任感と実行力を備えた気質を評価していた。これは社交辞令ではなく、観察に基づく判断だったという。
こうした交流は高市氏の政治的方向性に影響を与えただけでなく、台湾への理解を深める契機にもなった。高市氏の台湾認識は外交や経済にとどまらず、社会的状況への共感を伴うものであり、「表面的ではなく、心から台湾を支持している」と曹氏は述べた。
また、高市氏は李登輝氏を深く尊敬しており、2020年7月30日の逝去後は毎年同日に追悼している。さらに昨年4月29日に訪台した際には、最初に五指山墓地を訪れ、哀悼の意を表した。
保守主義の価値を継承 台湾にも示唆
理念面では、高市氏は法治や秩序、国家安全保障を重視する保守主義の価値を継承し、選挙情勢に応じて立場を変えることはないとする。曹氏は「権力のためではなく理念のために行動している」と評価し、現代の政治家に不足している資質だと指摘した。
対中政策についても強硬な姿勢を取り、中国共産党に対して安易に妥協しない立場を明確にしている。このような政治家は台湾を交渉材料として扱うのではなく、支持・保護すべき対象とみなす傾向があると分析した。
執筆の動機について曹氏は、高市氏が「6人の師」を持つことに着目したことがきっかけだと説明する。共著者とともに高雄市で集中的に執筆し、約30日で初稿を完成させた。単なる伝記ではなく、思想的背景から政治的形成過程を読み解くことを目指したという。
同書を通じて、政治家の意思決定の背後にある思想や、「政治家はいかにあるべきか」を読者に伝えたいとし、高市氏の歩みは偶然ではなく、長年の価値の蓄積と選択の結果であると強調した。
「題材・時機・著者」の三要素で評価
出版記念会では、時事評論家の金恆煒さんも、本書は「Subject(題材)・Timing(時機)・Writer(著者)」の3点から評価できると述べた。高市氏という重要な題材に加え、その政治的地位の上昇と出版時期が重なった点、さらに著者が日本・アメリカ・中国・台湾を長年観察してきた点が特徴だと指摘した。
また、本書は台湾の視点から日本の政治家を描いたものであり、既存著作の翻訳ではない点も特徴で、読者に東アジア情勢を新たな角度から理解させる内容となっている。
一方、著名な弁護士の童文薰氏は、「もし習近平がいなければ、世界は目覚めなかっただろう」と述べ、近年の国際情勢の変化が各国に自らの立場を再考させていると指摘した。その上で、「高市氏が首相となり、トランプが大統領である状況は、特別な歴史的条件だ」と語った。
さらに童氏は女性の視点から、高市氏は既存の枠組みを打ち破るために自らを乗り越える必要があるとし、「師は窓や扉のような存在であり、成長の契機となる」と述べた。高市氏は最終的にこうした制約を乗り越え、「日本史上最も偉大な首相」となる可能性もあるとの見方を示した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。