ダグ・バーガム米内務長官は20日、議会公聴会で中国製の太陽光製品が米市場に広く流入している現状について「国家安全保障上のリスクとなり得る」との認識を示した。審査体制の強化を通じ、潜在的な脅威の排除が必要だと強調した。
同日、下院歳出委員会で2027年度予算に関する審議に臨んだバーガム長官は、「多くの太陽光プロジェクトがほぼ全面的に中国製パネルに依存している。これは明確に安全保障上の問題だ」と述べた。
また、太陽光分野のリスクが他のエネルギー分野と比べて大きいかとの質問に対し、バーガム長官は安全保障を理由に中国通信機器大手「ファーウェイ」の製品の多くが米国内で禁止されている事例に言及した。
調査によれば、米国の電力網の約85%で中国関連の機器が使用されているとされる。特に、太陽光で発電した電力を送電網に変換するインバーターを巡っては、遠隔操作やサイバー攻撃、さらには「電力網のバックドア」として悪用される可能性が指摘されている。
世界の太陽光製造分野では、中国が供給網の8割以上を握る。とりわけ、上流工程のシリコンウエハーや製造装置で圧倒的なシェアを占めている。
かつて米国は太陽光製造の主要国の一つだったが、2010~20年にかけて、中国製品の価格攻勢により産業は大きく後退。中共政権が補助金や低利融資を通じて巨大な生産体制を構築し、低価格製品が大量に流入した結果、カリフォルニア州の太陽電池メーカー「ソリンドラ」のように倒産する企業も相次いだ。米政府は2022年以降、補助金を通じて国内供給網の再建を進めている。
米国太陽エネルギー産業協会(SEIA)が今年3月に公表した報告書は、「世界の太陽光産業における深刻かつ長期的な供給過剰は主に中国の生産拡大に起因する」と指摘。中国の生産量はすでに世界の設置需要を上回っていると分析した。
さらに、米企業の多くが海外からパネルを調達しているため、市場には低価格製品が急速に流入し、国内供給網の拡充を阻害していると警鐘を鳴らす。2024年には太陽光モジュールの輸入量が54ギガワットを超えた一方、設置量は約40ギガワットにとどまり、関税や制裁、反補助金調査など政府による規制強化を求める声が高まっている。
短期的には、一部企業が生産減速や工場拡張の延期を余儀なくされている。
太陽光分野の「武器化」懸念も
一方、ロイターは15日に中共当局が太陽光製造装置の対米輸出制限を検討していると報じた。ただし、現時点で国内メーカーへの正式な意見聴取は行われていないという。
中国はレアアース(希土類)分野でも世界的な供給網を掌握しており、電気自動車や半導体、防衛産業に不可欠な資源として、これまで輸出規制を通じて米欧などに圧力をかけてきた経緯がある。
しかしながら、太陽光分野では過剰生産が長年の課題となっており、中国企業の収益を圧迫している。こうした状況を受け、中共当局は生産調整に着手。1月から10月にかけて、多結晶シリコンの生産は29.6%減、ウエハーも6.7%減少。一方で、太陽電池や完成モジュールの生産は依然として増加傾向にある。
米国太陽エネルギー産業協会の報告によると、2024年の太陽光ブーム期には新設した工場の稼働発表が相次ぎ、モジュール価格は最大で50%下落した。さらに、隆基緑能科技、天合光能、晶科能源、晶澳太陽能の中国大手4社は、昨年前半だけで合計15億4000万ドルの赤字を計上したという。
米中間でのエネルギー供給網を巡る駆け引きは、産業政策と安全保障が交錯する新たな局面に入りつつある。
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