「台湾独立望まず」発言 トランプ大統領の真意は 

2026/05/17
更新: 2026/05/17

トランプ米大統領は15日に放送された米FOXニュースのインタビューで、台湾の独立に反対する個人的見解を表明し、台湾有事の際に米軍が防衛のため出動する必要性にも疑問を呈した。

ルビオ国務長官は同じタイミングで米NBCニュースの取材に応じ「米国の対台湾政策に変更はない」と明言、大統領発言と政府の公式立場との切り分けを図った。米中首脳会談の直後に、米政権内で台湾をめぐる対外メッセージが二重化する形となっている。

「9500マイル先の戦争はやりたくない」

トランプ氏は14日に北京で習近平と会談した後の米FOXニュースのインタビューで、米国の対台湾政策が変わったのかを問われ「何も変わっていない」と述べた。ただし台湾の独立宣言については「独立してほしいとは思っていない。9500マイル(約1万5290キロ)離れた場所まで戦争に行くわけにはいかない。そんなことは望んでいない」と発言した。

帰国便の機中で記者団に対しても、トランプ氏は習近平から台湾防衛の意思を問われた際「その質問には答えない」と返したことを明かした上で「米国が後ろ盾になっているからといって『独立しよう』と言い出す者が出るのは望んでいない」「台湾も中国も少し落ち着くべきだ。両方が落ち着くべきだ」と述べた。

習氏は冒頭から「台湾は最重要問題」と圧力

トランプ氏の発言は、北京での首脳会談で習近平が示した強硬姿勢を受けたものだ。米国公共ラジオによると習近平は会談冒頭、台湾問題を「米中関係で最も重要な問題」と位置づけた上で「適切に処理されれば二国間関係は全体として安定するが、そうでなければ衝突、ひいては紛争に至り、関係全体を大きな危険にさらす」と警告した。

習近平はさらに「『台湾独立』と台湾海峡の平和は、火と水のように相容れない」とも述べた。

会談前の段階から、中国側は米国の従来方針である「台湾独立を支持しない(does not support)」との表現を、より踏み込んだ「反対する(oppose)」へ変更するよう米側に圧力をかけていたと米メディアが伝えていた。

ルビオ氏「政策は不変」訪中前から防衛線

ルビオ国務長官は会談直後のNBCニュースのインタビューで「米国の台湾問題に関する政策は、本日時点でも、本日の会談時点でも変わっていない」と明言した。

ルビオ氏は中国側が会談で台湾問題を提起したことを認めた上で、米側は「常に立場を明確にし、他のトピックに移った」と説明。さらに「現状を強要や強制によって変えようとするいかなる行為も問題であり、われわれの方針はこの点で変わっていない」と中国側に伝えたとした。

ルビオ氏は中国の意図についても踏み込み「中国の最も望んでいるのはおそらく、台湾が自発的・任意に中国に加わることだ。完璧な世界では、台湾で合流に同意する投票か住民投票が行われることを望むだろう」との分析を示した上で、武力や強制的手段による「統一」追求は「ひどい誤りであり、米国だけでなく世界に影響が及ぶ」と警告した

ルビオ氏はトランプ訪中前の段階から先回りで火消しを図っていた。イスラエルからカタール・ドーハに向かう機中で記者団に対し「われわれが台湾を手放すのと引き換えに有利な条件で何らかの貿易合意を得るのではないかと心配している人がいるとしたら、そんなことは誰も検討していない」と語っていた。

武器売却は「大統領の判断」、防衛公約は曖昧化

台湾向け武器売却の扱いも焦点となった。ルビオ氏は習氏が武器売却の停止を求めたかとの質問に対し「過去には議論された問題だが、木曜の議論では大きく取り上げられなかった」と説明、対台湾武器売却は「大統領が決定するもの」だと述べた。

一方トランプ氏自身は、ペンディング中の対台湾武器売却パッケージについて「武器売却の件は詳細にわたって議論した。決定はこれから行う」と曖昧な姿勢を示し「ただ、いま最も必要ないのは9500マイル離れた場所での戦争だと思う」と付け加えた。

台北は「驚きはない」、米政権内に温度差

米国は長年の『一つの中国』政策において台湾の地位を未定義なままにしており、台湾の独立を支持しない立場をとってきた。また、中国による攻撃があった場合に米国が台湾防衛に介入するかどうかをあえて明確にしない『戦略的曖昧性』というアプローチを維持している。

トランプ氏は今回、私的見解の枠内ながら「独立に反対する」方向へ言葉を傾けた格好となり、米国の従来方針からの実質的な後退と読む向きもある。中国国営メディアは、トランプ陣営の台湾関連発言を一切報じておらず、アナリストは中国側が今回のやり取りに満足しなかった可能性を指摘している。

台湾政府側は首脳会談に関し、現時点では「驚くべきメッセージはない」との見解を示している。