同じ商品、同じ値段、同じ購入ページ。それでも一部の業者は、大都市には良品を、地方や農村には質を落とした品を送るという。
日本では信じがたいが、中国のネット通販では長年「公然の秘密」とされてきた問題である。
中国では、この手口を「AB商品」と呼ぶ。質の良いAの商品と、材質や大きさなどで質を落としたBの商品を用意し、同じ商品として送り分ける。少しでも利益を増やすため、送り先を見て客を選別する悪質な商法である。
ある消費者が同じ店で同じまな板を買ったところ、都市部に届いた品は商品ページの説明通りだったが、地方の町に届いた品は材質も持ち手も違っていた。
別の女性も、同じ髪留めを都市と農村の二つの住所に送ったところ、農村に届いた方が明らかに小さかった。女性が店に苦情を伝えると、店側は「製造時期が違う」と釈明したという。
この問題について、衣料品のネット販売に10年間携わる業界関係者は、中国メディアの取材に、その釈明は言い訳にすぎないと反論。「一部の店は初めから品質の異なる商品を用意している」とし、こうした使い分けは実際にあると明かした。
こうした品質差は、都市と農村だけではない。実店舗で試した靴は履き心地が良かったのに、同じブランドの公式通販で同じ型の商品を買うと、色も柔らかさも違っていたとの報告がある。同じ型番の照明でも、メーカーが実店舗用とネット用に別仕様を作っていた例もあった。
贈り物まで狙われる。都市に住む女性が、自分で買っておいしかった果物を農村の親族に送ったところ、届いたのは小さく、鮮度も味も劣る品だった。
注文者は現物を確認できず、受け取った側も本来の品質を知らない。質が悪くても贈り主には言いにくいため、業者がこうした弱みにつけ込んでいるとの疑いがある。
消費者からは「詐欺だ」「何が届くかは運次第」「ライブ配信で見た商品とは別物」と、怒りとあきれの声が噴出している。通販サイトはこうした販売を取り締まらず、当局の監督も形だけだとの批判も根強い。
同じ名前、同じ値段、同じ購入ページでも、同じ商品が届くとは限らない。安く買えたと思ったら、知らないうちに「安く作った別物」をつかまされている可能性がある。
これでは買い物というより、何が届くか分からない賭けである。
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