中東・北アフリカの子どもの貧困は2,900万人=ユニセフ調査

2017/05/17 11:37

 ユニセフ(国連児童基金)は、最近実施した中東・北アフリカ地域11カ国の分析調査で、この地域の子どもの4人に1人に相当する少なくとも2,900万人が貧困の影響を受けていると報告した。

 11カ国とは、アルジェリア、コモロ、エジプト、イラク、ヨルダン、モーリタニア、モロッコ、パレスチナ、スーダン、チュニジアおよびイエメン。これらの国々の人口は、中東・北アフリカ地域全体の4分の3を占める。

 これらの子どもたちは、基礎教育、適切な住居、栄養のある食事、質の高い保健ケア、安全な水、衛生、情報へのアクセスといった生活に必要な最も基本的な要素のうち、2つ以上において、必要最低限のレベルさえ満たしてないという。

 ユニセフ中東・北アフリカ地域事務所代表ヘルト・カッペラエレは先日、モロッコのラバトで開催された子どもの貧困に関する地域会合で「子どもの貧困とは、家庭の収入だけを指すのではありません。それは、質の高い教育や保健ケアを受けられるか、家があり安全な水が手に入るか、という問題も含んでいます。子どもたちがこのような基本的な生活をはく奪されたなら、かれらは貧困の悪循環に捕らわれる危険に晒されます」と述べた。

イエメン南部の街で、空爆を受けた学校を見つめる子供たち(AHMAD AL-BASHA/AFP/Getty Images)

 ユニセフによると、ほとんどの国では、貧困を削減するために重要な進展がみられたものの、貧困下に暮らす子どもの数は依然として高いまま。紛争の影響を受ける国々では、過去数十年に築いた成果が急速に後退している。

  • 教育の欠如が、子どもの不平等と貧困を推し進める要素の1つとなっている。教育を受けていない家族が家長の家庭で育つ子どもは、そうでない子どもに比べて貧困であり続ける可能性が2倍高い。5歳から17歳の子どもの4分の1は、学校に通っていないか、2学年留年している。
  • すべての子どもの約半数は粗末な床や混み合っているなど適切でない住居環境に暮らしている。
  • 約半数の子どもは、必要な予防接種が完了していない、あるいは産後ケアや出産時ケアを十分に受けられなかった母親から生まれている。
  • 子どもの5人に1人は、30分以上歩いて水を汲みに行くか、安全でない水を使用することを余儀なくされている。子どもの3人に1人以上が、水道が引かれていない家に暮らしている。

 貧困の撲滅に向けた共同行動を起こすことには、いくつかの大きな課題がある。紛争の影響を受ける地域では、貧困が子どもに及ぼす影響を測ることや、こどもたちの置かれている現状について、十分な理解が不足することになる。そのため、現行の政策や行動では、子どもたちの貧困問題に効果的に対応できなくる。 

「今、最も弱い立場にある子どもたちに投資することで得られる利益は、将来の地域の平和と繁栄です」「そのためには、各国政府、市民社会、民間企業、個人そして国際社会による、真のリーダーシップと勇気ある公的・民間投資の統合が必要です」 とカッペラエレは主張する。

(編集・甲斐 天海)

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