THE EPOCH TIMES

焦点:中国「民主村」に潜入、監視と密告に口つぐむ住人たち

2017年11月25日 18時00分

James Pomfret

[烏坎村(中国広東省) 10日 ロイター] - かつて「民主村」と呼ばれた中国南部広東省の烏坎(ウカン)村だが、今では、あらゆる幹線道路に設置された監視カメラが住民の動きを見張っている。

住民によると、あちこちに当局の密告者がおり、数十人の村民が刑務所や拘置所で厳しい獄中生活を送っている。

この村は2011年、草の根運動によって民主的な選挙を中国当局に認めさせたことで、世界的に知られるようになった。しかしその後、当局が土地強制収用を巡る抗議運動を制圧し、運動を主導したリーダーを投獄した。それから1年経てもなお、息詰まる厳重な監視下にある。

ロイター取材班は今回、この村を訪問する貴重な機会を得た。村民数人と村の現状に詳しい関係者とのインタビューを通じて、烏坎村とその周辺一帯に敷かれた厳戒態勢と、何としても治安維持を図ろうとする中国政府の強硬な姿勢が浮き彫りになった。

かつてメディアを温かく歓待していた村民たちが、いまでは報復を恐れ、口を開くものはほとんどいない。

「この村にはもう何も残されていない」と村の若い男性が語った。神経質な様子で、長く言葉を交わそうとはしなかった。「何が起きたか知っているだろう」と言い残すと、彼は足早に立ち去った。

関係筋によると、100人の専属職員を擁する「烏坎村の大規模作業部会」が省レベルで設立された。密告者やパトロール部隊を組織し、監視カメラや投光照明を配備することにより、村の「安定」を維持しようとするものだ。

中国政府は1980年代、国内の村々で選挙実施を許可し始めた。とはいえ民主活動家らは、そうした村の役職を決める選挙のほとんどが当局の干渉を受けていたと指摘する。

2011年、烏坎村で繰り広げられた地元当局に対する相次ぐ抗議運動によって、ついに当局が折れ、自由で開かれた選挙を認めた。これによりこの村は「民主の村」として、中国における民主主義の希望の星となった。

しかし、いまや烏坎村は、中国当局による市民社会や個人の権利に対する締め付けに屈してしまった。2011年当時、村の抵抗運動を率いていた指導者の1人だったZhuang Liehong氏はそう嘆く。

「烏坎村で起きていることは、中国全土で起きていることだ」とZhuang氏は語る。「表現の自由や個人の権利がない、中国の暗部を映し出している」

ロイターは広東省政府にファックスで質問を送ったが、回答はなかった。

習近平国家主席が率いる中国政府は、国民生活のあらゆる面に共産党の統制を浸透させようとしている。こうした方針に対しては、中国当局が人々が異議を唱えることを認めず、市民社会を中央政府に対する挑戦とみなして弾圧している、との批判の声も上がっている。

「習近平氏が2013年に政権の座に就くと、市民社会の限界を押し上げようとする人々を制圧することが、自らの権力を固める政治活動の土台となった」。加トロント大学のダイアナ・フ氏と米マサチューセッツ工科大学のグレッグ・ディステルホースト氏は、「現代中国における草の根政治参加と抑圧」と題した共同論文でそう指摘する。

中国新指導部の発足によって、習主席に権力が集中するなか、一部の専門家は、習政権2期目となる今後5年間も、社会安定を目指す厳格な政策は続くだろうとみている。それは烏坎村のような地域にも影響を及ぼすだろう。

「これまでさまざまな問題に直面してきた中国共産党は、独裁体制で巻き返しを図ると決めた」と、国際人権団体アムネスティー・インターナショナル東アジア担当ディレクターのニコラス・ベクリン氏は述べた。

<世界の注目を集めた村>

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