防衛省、陸上イージスのレーダーにロッキード製選定=関係者

2018/07/04
更新: 2018/07/04

[東京 3日 ロイター] – 防衛省は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」のレーダーに、米ロッキード・マーチン<LMT.N>の「SSR」を採用する方針を固めた。

北朝鮮情勢を巡る緊張が緩和し、新型迎撃ミサイルの早期配備の必要性に疑問の声が出ているものの、防衛省は計画通り2023年度の運用開始を目指す。政府関係者が明らかにした。

イージス・アショアは、イージス艦に搭載している迎撃ミサイルシステムを陸上に配備したもの。探知性能を左右するレーダーには複数の選択肢があり、防衛省は米海軍がイージス艦への採用を決めた米防衛大手レイセオン<RTN.N>の「スパイ6」と、米ミサイル防衛局がアラスカ州に配備するレーダーをもとにしたロッキードのSSRを候補に選定を進めてきた。

省内には米海軍との相互運用性を重視する立場から、スパイ6を推す声もあったが、関係者によると、SSRのほうが廃棄まで使用した際の総合的なコストや探知能力が優位と判断した。SSRは富士通<6702.T>製の半導体素子を使うことから、日本の国内産業が関与できることも選定に影響した。

日本政府は昨年末にイージス・アショアを2基導入することを閣議決定。今年度は配備に向けた調査費や設計費を防衛予算に計上した。来年度は米政府と装備自体の取得契約を結びたい考えで、概算要求に盛り込む方向で調整している。

防衛省はイージス・アショアの取得費を2基2000億円と見積もっているが、搭載する迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の価格が上昇していることなどを踏まえ、関係者の多くは最終的に2倍以上に膨らむ可能性があると指摘している。また、配備候補地の山口県と秋田県では反対の声が広がっている。

(久保信博)

Reuters
関連特集: 国際