THE EPOCH TIMES

焦点:中国ワクチン騒動煽った「自媒体」、情報統制揺るがすか

2018年08月03日 11時22分

Adam Jourdan and Pei Li

[上海/北京 26日 ロイター] - 中国のワクチン不正を巡るスキャンダルが、情報管理に総力を挙げてきた同国政府に新たな挑戦を突きつけている。個人が書いたブログやオンライン記事が、一般市民の怒りに火をつけているのだ。

ワクチンメーカー長春長生生物科技(チャンション・バイオ・テクノロジー)<002680.SZ>が子ども向け狂犬病ワクチンの製造資料を捏造(ねつぞう)していたとされる問題が、大きな関心を呼ぶようになったのは、当局が問題を指摘した6日後の20日、大手ソーシャルメディアの微信(ウィーチャット)で掲載された記事がきっかけだった。

「ワクチン王」の見出しで元ジャーナリストたちが運営するアカウントに掲載された同記事は、長春経営者のビジネス手法を批判。翌日削除されるまでに数万回閲覧された。削除後も、無数の記事リンクやコピーが中国のネット上に出回った。ブロックチェーン技術を使って記事を保存するネット市民すらいた。

「自媒体」と呼ばれる自主メディアの記事が及ぼす巨大な影響力は、オンラインの情報統制を強めようとする中国共産党に対する脅威となっている。

「これはゲリラ戦だ。政府は、伝統的メディアに対するような取り締まりができていない」。米ペンシルバニア大で中国メディアを研究するFang Kecheng氏はそう語る。自媒体のアカウントを1つ閉鎖させても、すぐに多数のアカウントが開設されるためだ。

今回の記事は、国内製の薬品や食品を巡る品質スキャンダルに長年悩まされてきた中国国民の激しい反感を買った。記事発表の翌日には、中国のソーシャルメディアは大炎上していた。

頻出ワードを追跡するウィーチャットインデックスによると、その日の「長春」に対する言及は1億回に迫り、前日の26倍に跳ね上がった。交流サイトの微博(ウェイボー)では、長春スキャンダルに関する議論が8億2000万回以上閲覧された。

深セン証券取引所に上場している長春に対する制裁は速やかに行われた。

中国当局は複数の捜査を開始。警察は経営トップや幹部ら15人を拘束。習近平国家主席はこのスキャンダルについて、「恥ずべきものでショッキング」だと批判した。

公式に謝罪した長春は、7月中旬以降、時価総額の半分以上にあたる19億ドル(約2100億円)を失い、上場廃止を申し出た。

「ワクチンスキャンダルが公表された1週間前には、数十万(元)の罰金が科されただけだった。ワクチン王の記事が拡散されてからは、経営者を含め15人が拘束された。たった1本の記事が持つ影響力には恐ろしいものがある」と、ウェイボーに投稿する人もいた。

今回の記事をウィーチャットに投稿したのは、メディアと関係ない、多数ある自媒体グループの1つで、不動産会社や株式市場、企業買収などの報道で知られていた。この記事には記者の署名がなく、グループ名の「Shou Ye」とのみ記されている。同グループの記者たちは、読者からの寄付で収入を得ている。

<「破壊的影響力」>

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