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(Photo by Ethan Miller/Getty Images)

【漢方相談室】 産後頻尿

漢方医師・舒栄

 【大紀元日本10月23日】

 西洋医学の限界

 ある女性患者は、自然分娩で出産した後、すぐに頻尿の症状が現れました。昼間は15~20分ごとに一回の頻度で排尿し、排尿してもまたすぐトイレに行きたくなります。就寝中は4~5回ぐらいの割合でトイレのために起きます。初期の頃からずっと抗生物質を服用していましたが、症状の改善は見られませんでした。尿検査では特に異常が見られなかったため、医師は神経性膀胱炎と診断しました。患者には抗うつ薬を処方し、膀胱の緊張を緩めるようにしましたが、一向に症状はよくなりませんでした。このように15カ月間治療した後、西洋医学の限界を感じた医師は、患者に漢方の診療を受けるよう勧めました。

 漢方医学が効いた

 患者は私の漢方診療所を訪れてきました。診察すると、彼女は舌の色が薄暗くて、舌の苔は薄い白苔、脈拍は細くて力が乏しいのが分かりました。これらの情報を分析した結果、患者の証は「腎気不足、膀胱失約」であると診断しました。これは、腎の機能が弱くなり、膀胱のコントロールが効かなくなるということです。患者には鍼灸治療を行うとともに、漢方薬の補腎気薬である八味地黄丸(はちみじおうがん)を処方しました。治療を開始してから一週間後、昼間の頻尿はかなり改善し、夜間の排尿も1~2回に減りました。継続して数週間治療した後、夜間の排尿はなくなり、昼間の排尿も通常の頻度になりました。

 漢方医学の考え方

 西洋医学は、実証科学の方法を用いて、病気そのものを中心に研究するのが一般的です。一方、漢方医学では「天人合一」の思想のもと、病気と臓腑機能、および宇宙のさまざまな要素との繋がりが影響していると考えられています。

 この患者の症状は膀胱に現れていますが、漢方医学の理論から言えば、根本の原因は膀胱ではなく、腎気不足によるものです。この女性患者の場合、腎気不足は妊娠、出産による体力の消耗が原因と考えられます。

 腎臓は膀胱の機能を制御して、液体の代謝を管理する機能があります。もし腎臓の気が不足していると、腎臓の気化機能が弱まり、水の体内循環が滞ります。また、腎臓の膀胱に対する制御力が弱くなると、膀胱の尿液の貯蓄能力が低下し、頻尿の症状が現れます。

 鍼灸と漢方薬で腎気を補ったところ、腎臓の気化機能が強くなったため、水分の循環が良くなり、一部の水分が肺臓と皮膚から排出され、膀胱に行く水が少なくなりました。さらに腎臓の膀胱に対する制御力が強くなったため、頻尿の症状は自然になくなっていきました。

(翻訳編集・藪益舎)


 (09/10/23 05:00)  





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