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グーグル事件で緊張が高まる米中関係。米グーグル社が1月12日に中国からサイバー攻撃を受けたと公表した後、少なくとも米企業34社が同様の被害に遭っていたことが明らかになった(写真:LIU JIN/AFP/Getty Images)

中国からのサイバー攻撃、米企業34社が被害 「政治や技術情報が標的」

 【大紀元日本1月16日】米グーグル社が中国からサイバー攻撃を受けたと公表したことに関連し、セキュリティ専門家は、少なくとも米企業34社が、グーグル社が攻撃を受けたのと同時期に同様の被害に遭っていたことを明らかにした。米国の主要金融機関や国保企業、ハイテク大手、研究機関を対象にして、サイバーの安全性の欠点を利用して電子メールに侵入しようとするシステム的な政治と企業に対するスパイ行為であるという。米中外交に緊張が高まっている。

 米紙「ワシントン・ポスト」14日付の報道によると、今回のサイバー攻撃に遭っていたのは、グーグルのほか、ネット検索のヤフーやコンピューター・ソフトウェアのアドビ(Adobe)、シマンテック(Symantec)、防衛企業のノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)、化学メーカーのダウ・ケミカル(Dow Chemical)など米大手企業。

 標的にされた企業は、中国が遅れている分野で、防衛産業の武器に関する情報や、ソフトウエアのソースコードなどが狙われたと専門家は指摘する。防衛産業企業への攻撃は、米武器システムの情報取得が狙いなのに対して、ハイテク企業への攻撃は、ソフトウェア使用の原動力であるソースコードの盗用が目的。そのほか、反体制者の情報も標的となったという。

 「ハイテク情報や政治的な敏感な情報を盗むのが目的の、大規模なスパイ行為だ。ハイテク情報は中国経済の急上昇、政治情報は政権の維持に使用される。これが中国高層の狙いだ」。米戦略国際関係研究センターのサイバー・国家安全の専門家、ジェームズ・ルイス(James Lewis)氏が話す。

 「一般の場合、サイバー攻撃は標的ごとに一種類の悪意なコードを使っているが、今回の場合、多数の標的に多数のタイプのコードを使っているのが特徴。以前より大規模な全体的協調がなされている」と、今回のサイバー攻撃について分析する専門家が指摘している。

 昨年末から今年初めに頻繁になったこの攻撃では、攻撃者はフィッシングテクニックを使っている。受信者が、知っている人からのメールを受け取り、気付かないまま添付されたファイルを開いた瞬間、遠距離監視のプログラムをパソコンにインストールしてしまう。このプログラムを通してパソコン使用者の電子メールや機密ファイルへのアクセス、更にパソコンの周辺環境への録音や撮影が可能となる。多くの場合、パソコン使用者は自分が被害に遭っていることに気付かない。

 米サイバーシッター社の代理人ギプソン・ホフマン・パンシオーネ法律事務所は、今週、中国大陸からサイバー攻撃による被害を受けたと示した。同事務所の弁護士の話によると、社内パソコンに保存されているデータを盗用するのが目的と見られる、同僚の名義を偽ったメールを受け取ったという。サイバーシッター社は最近、中国当局が搭載義務とした検閲ソフト「グリーンダム」が自社の知的財産権を侵害しているとして、中国政府に対して訴訟を起こしている。

 企業のほか、米人権団体や米国会の政策制定に影響力を与えるシンクタンクも攻撃されている。

 ハッカーの所在地について確実には断定できていないが、同事件はすぐに外交上の緊張関係に発展した。「グーグルに対する中国からのサイバー侵入事件は本当に深刻なことだ。連邦政府は現在調査している」と、ホワイトハウスのニック・シャピロ(Nick Shapiro)報道官が、今週の発表で話していた。オバマ大統領はネットの自由を基本的な人権問題と見なしているという。

 今回のサイバー攻撃との関連性は不明だが、今月4日、中国官製報道機関は、中国防衛大学教授で、武器装備及びネット戦争専門家の張忠召氏をインタビューし、「中国は理由のないネット攻撃はしない」と題する記事を報道、西側の「中国ネット脅威論」に警戒しようとの論調を出した。

 張氏は、インタビューの中、「パソコンはあなたのもの、サーバーはあなたのもの、操作システムもあなたのもの。どうして私があなたを攻撃したと言えるのか。我々の戦略は防御的で、理由もなく他人を攻撃することはしない。西側は政府から資金を獲得し、ネット部隊を作り、自分の敵を作るために、常に中国のネット脅威論を説いている。警戒すべきだ」と話した。

 グーグルと中国当局の間の対決は、米中関係上最も敏感な問題、つまり、人権、ネット検閲、貿易摩擦、知的財産権保護とハイテクの軍事技術に関係している。

 米グーグルは12日、中国を発信元とするハッカーが「中国の人権擁護運動家のGmailアカウントに定期的にアクセスしている」と発表し、波紋が広がった。米紙「ニューヨーク・タイムズ」によると、投獄されている著名な人権活動家・胡佳氏の妻・曾金燕さんは、彼女が送信したEメールが自動的に不明なアドレスへ転送されていたという。また、人権派弁護士のトン・ビャオ(Teng Biao)氏は同紙のインタビューで、自分のEメールが2文字違いのGmailアドレスへ自動的に転送されていることが分かったと話している。

 5年前グーグルが中国市場への参入を決めた際、敏感な問題に関わる検索に対する北京当局のフィルタリングに同意したが、フィルタリングの内容に関して北京当局と衝突していた。それ以来、グーグルが中国に対抗するたびに、サービスが頻繁にブロックされている。

 グーグル社が12日、今後は中国当局の検閲を受けないとの声明を出したことに関する報道は、中国ではフィルタリングされている。米グーグルの発表から2日後、中国外務省の姜瑜(ジアン・ユィ)報道官は記者会見で、インターネット会社を歓迎するが、中国でオンライン・サービスを提供する企業は「法律に従わなければならない」と言明。米グーグルが懸念するネット検閲やサイバー攻撃には言及せず、「中国のインターネットは開放的だ」とコメントした。

 例外は中国当局の機関紙の報道。人民日報は、グーグル社を「甘やかされた子ども」と呼び、グーグル社は声明を最後まで貫くことはないだろうと予測している。

(大紀元日本語編集報道チーム)


 (10/01/16 09:23)  





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