印刷版   

中国国内専門紙はこのほど、人民元の対ドル変動幅を拡大させる機は熟したとする社説を掲載(STR/AFP/Getty Images)

人民元の対ドル変動幅の拡大 「機は熟した」=中国国内専門紙

 【大紀元日本8月19日】中国国営新華社傘下経済専門紙「中国証券報」は16日、ホットマネーの流入による中国経済への悪影響を阻止し、欧米市場依存型経済発展の限界を緩和するため、人民元の対ドル変動幅をさらに拡大させる必要があり、今はその機が熟したとの社説を1面に掲載した。

 最近、人民元は対ドルでの最高値を頻繁に更新しており、過去1週間で、人民元は対ドルで0.7%上昇した。中国当局は2005年7月より人民元を固定相場制から管理変動相場制に移行し、現在人民元は対ドルの変動幅を前営業日の基準値と比べて上下0.5%までの範囲と定めて統制してきた。今回このような大きな変動幅を見せたのは極めてまれだ。

 HSBC銀行駐香港外為アナリストの許尚賢(Daniel Hui)氏は、最近の人民元対ドル相場の変動の状況からすれば、人民元相場に何らかの変化が現われている、問題はなぜこのような変化が現れるのか、そしてこの変化はいつまで続くのかを注目しなければならない、と分析している。

 人民元の切り上げを加速させることで、輸入品価格を押し下げられると共に、物価上昇の抑制を狙えるとの見方が最も多い。また、対米貿易黒字の拡大も人民元の切り上げを加速させる一因と考えられる。7月の単月の対米国貿易黒字額は315億ドルまで上昇し、過去2年間の最高水準である。

 一方、今回の人民元対ドル相場の急上昇は、ちょうど米国大手信用格付会社スタンダード&プアーズ(S&P)社が米国債の信用評価を引き下げた直後であることから、3.2兆ドルを抱える外貨準備の7割近くを米国債など米ドル建て資産に運用している中国にとって、これ以上米国債保有のリスクが大きくなることを避けたい思惑が読みとれる。

 仏農業信託銀行駐香港外為アナリスト、ダリウス・コワリチク(Dariusz Kowalczyk)氏は今回の人民元急上昇について、次のように分析している。中国政府は、人民元の切り上げによる輸出縮小および経済成長への影響といったリスクに比べ、巨額な外貨準備を格下げされた米国債などの米ドル建て資産で運用するリスクのほうが大きいと判断したといえよう。

 中国国内でも、さらなる人民元相場の改革を求める声も続出。中国人民銀行(中央銀行)通貨政策委員会委員の夏斌氏は、中銀の出版物で発表した論文において、米国債最大の保有国である中国は、米国債保有リスクを早急に見直し、外貨準備の運用の多元化を図るべきだと訴えた。

 一方、米国のバイデン副大統領が17日から22日までの予定で中国を訪問している。米国からの人民元切り上げ要請、中国からの米国債安全確保要請、こういった駆け引きの中、今後の人民元相場の動きにさらなる注目が集まりそうだ。

(翻訳編集・林語凡)


 (11/08/19 08:25)  





■キーワード
人民元高  米国債  物価上昇  貿易黒字  外貨準備  


■関連文章
  • 米国債の格下げは中国の「苦痛」(11/08/13)
  • 7月CPI上昇率さらに更新 止まらない中国のインフレ(11/08/11)
  • 【フォトニュース】米国デフォルト回避 両党は債務上限引き上げに合意(11/08/02)
  • 中国、貿易黒字が拡大 経済成長、減速早まる(11/07/19)
  • 中国の貧富の差、金融システムに悪影響(11/05/09)
  • 「騒乱の中国 なぜか静か」=仏経済紙 (11/04/02)
  • 中国、追加利上げ ジレンマに陥るインフレ抑制策 専門家「潜在インフレ率38%」(10/12/28)
  • 外貨準備価値の下落や輸出の打撃 中国、ユーロ圏財政危機に憂慮(10/12/27)
  • 中国の「差別的」貿易政策 米議会が批判(10/12/08)
  • 農産物高騰でインフレ警報 専門家「マネーサプライの急増が主因」=中国(10/11/06)
  • 中国、総額4億ユーロのスペイン国債を購入、外貨準備運用の多様化を狙う(10/07/21)
  • 5月買7352億円 中国、日本国債投資を急増 中国学者「日本円の変動はより楽観的」(10/07/09)
  • 人民元レートに弾力性 変動幅は依然小  「大幅増は債務危機の可能性」=中国経済学者(10/06/29)
  • 大幅な切り上げは輸出企業を打撃=中国各紙社説(10/06/24)
  • 中央銀行、「人民元の弾力性を高める」 専門家:大幅な切り上げはない(10/06/21)