腐敗認識指数 中国国民の大半「政府の腐敗は依然として大問題」

2021/02/22
更新: 2021/02/22

中国共産主義政権が腐敗防止の取り締まりを公約してから約10年が経過した。新たに発表された腐敗認識指数(CPI)によると、中国が贈収賄や他の政府汚職一掃はされていないことがわかった。

国際非政府組織「トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)」が2021年1月下旬に発表した2020年腐敗認識指数報告書には、「中国は公共部門の贈収賄を防止するシステムを緊急かつ迅速に導入する必要がある」と記されている。同指数は世界各地の専門家や経営幹部を対象としたアンケート調査に基づき、その国の公共部門がどの程度汚職していると認識されているかを評価して国別にランク付けしたものである。最も腐敗した状態が0点、腐敗のない状態が100点として採点される。

180の国と地域を対象として実施された2020年の調査で、第1位の座に着いたデンマークと同点の88点を獲得したニュージーランドはインド太平洋地域で最も汚職の少ない国としての評価を得たが、中国の得点は42点でこの半分未満となる。日本は77点で世界19位という。第78位に着いた中国の得点は、世界平均の43点にも、インド太平洋地域の平均の45点にも届かなかった。

トランスペアレンシー・インターナショナルの報告書によると、重要なことは、中国国民の28%が公共部門に賄賂を支払うと回答するなど、全体の62%が「政府の腐敗は依然として大問題である」と考えていることである。また、中国国民の32%が公共部門からのサービスを確保するために人脈を利用すると回答している。同報告書には、「こうした回答は数十億人の中国国民の声を代弁するもので、中国が腐敗を抑制できるのはまだまだ先の話である」と記されている。

同報告書が発表される数日前、中国共産党中央委員会総書記などを兼務する中国の習近平主席は、中国共産党中央規律検査委員会(中規委)に対して汚職が政権統治における最大のリスクであると述べている。中国国営放送局「中国中央電視台(CCTV)」が所有・運営するCGTN(中国グローバルテレビジョンネットワーク)が報じたところでは、習主席は中規委に対して、「腐敗防止の取り組みにおける苦闘は今後も長く続くと考えられる」と語っている。

2012年に最高指導者の地位に就いた習主席は、公共部門の腐敗の根絶に取り組む姿勢をアピールした。そして、その取り締まりは時には残忍を極めた。サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙が伝えたところでは、腐敗認識指数が発表された翌日、中国最大級の中国国営金融機関の頼小民前会長の死刑が執行された。頼前会長は277億円近くの賄賂を受け取った収賄罪で死刑判決を受けていた。

しかし、アナリスト等によると、この腐敗取締政策は中国国民に透明性と公平性を提供するための手段であると同時に、政権を批判する者に対する武器としても機能している。2021年2月上旬にオンライン雑誌のザ・ディプロマット誌に掲載されたNGO団体「フリーダム・ハウス」のサラ・クック研究部長とネイト・シェンカン研究部長の記事には、同政策により、腐敗防止の名目で標的にされた数千人の元共産党幹部等が海外亡命を余儀なくされただけでなく、中国共産党は同党の人権侵害に抗議した香港住民や台湾市民、モンゴル人も弾圧したと記されている。

また同記事には、「中国政府は自国と直接関係のない外国人までも支配しようとしている」と記されている。

習主席が腐敗防止を掲げたにも関わらず、同政権発足以来、中国の腐敗認識指数の順位はほとんど上昇しておらず、平均得点は39点であり平均順位は83位となっている。

インド太平洋地域における腐敗認識指数上位の国としては、85点のシンガポールや77点のオーストラリアなどの民主主義国が挙げられる。対照的に、18点の北朝鮮は同地域で最も腐敗した国として世界順位の最下位から10番目にランクされている。

トランスペアレンシー・インターナショナルの報告書によると、世界諸国の大半が「腐敗対策の効果的な取り組み」に失敗している。これにより、公衆衛生活動において医薬品、医療機器、他の救命資源などの横領や盗難が発生していることで、新型コロナウイルス感染症パンデミックの状況にも悪影響が及ぼされている。

(Indo-Pacific Defense Forum)

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