「夢の太陽光…イメージと違う方向に」萩生田経産相、発電事業ルールに言及

2022/02/16
更新: 2022/02/16
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衆議院予算委員会で14日、太陽光発電事業に関するルール作りについて、萩生田光一経済産業相は省庁をまたぐ横断的な法律の制定の可能性について言及した。事業者によって開発途中の土地が放置される問題や、土砂流出等により地域社会に損害が出る問題を取り上げた福島伸享議員に対する答弁。

政府は第6次エネルギー基本計画(以下、基本計画)のなかで、2030年度の温室効果ガス削減目標として、2013年度から46%削減することを定めた。太陽光や風力等の再生可能エネルギーの比率については、2019年の18%から2030年度には38%へと倍増させることを目指している。基本計画では再生可能エネルギーの導入に際し「適地の確保や地域との共生」等の課題に対し関係省庁が一体となって取り組むこととされている。

しかし「地域のトラブルが続発している」と福島氏は指摘する。地元選挙区である茨城県笠間市にある3つの太陽光パネルの例を挙げた。「中国系の太陽光パネル事業者が倒産して放置された。土砂が流れ込み田んぼを2枚埋め、道路も塞いだ」と被害の発生について説明した。事業者の倒産により、道路や山の斜面の修復代金には市の税金が充てられているという。

茨城県笠間市本戸の太陽光発電施設3例と山の斜面の修復、反対姿勢を示す住民の立て看板。2020年7月2日撮影(撮影、提供:福島伸享議員)

笠間市によれば、写真左上の例では裸地部分の事業が停止している。他2例は工事施工中だという。

無人、20年事業… 特殊な太陽光パネルに法整備必要

福島氏はさらに、太陽光発電事業の特異性を取り上げ、既存の枠組みにとらわれない法整備を進めるべきだと訴えた。

リゾート開発や工業団地の建設とは異なり「太陽光発電事業は一定期間事業を行い、事業が終わったらはげ山が残るだけ。その上事業を行っているときに人がいるわけでもない」と福島氏。「1回変えた環境は戻らない」。

植生への長期的な影響等を懸念して、省エネ発電設備の設置に抑制的な条例(省エネ条例)を制定する自治体が増加している。一般財団法人地方自治研究機構の調査によると、全国1559の自治体のうち、2014年時点では省エネ条例は2件だったが、2021年末には175件に大幅に増加した。

環境省が太陽光パネルの設備に関するガイドライン等を設けるなどの取り組みを行っているものの、法的拘束力がないため「悪質な業者を排斥できない」との問題点を指摘した。

これに対し萩生田氏は、「再生エネルギーのさらなる導入拡大を実現するためには地域との共生を図りながら事業を進めていくことが必要不可欠」との認識を示しつつ、「再生エネルギー特別措置法では発電事業者に対して、所在する自治体が定めた安全性や地域とのコミュニケーションを求める条例を含む関係法令の遵守を求めて」おり、違反があれば指導・改善命令等を経て認定を取り消すこともあると述べた。

「里山を壊さないで」との住民運動も起きているとの福島氏の話を受けて、萩生田氏は「太陽光は夢の再生エネルギーだと思って始まった。小学生だって、CO2を減らすために木を切ったら、なんのために木を切るのですかと思っている。我々がイメージしていた太陽光と違っているほうに向かっていることが否めない部分もあると思う」と吐露した。

そのうえで、関係法令が複数の省庁をまたぐこと、自治体の事情や土地の性質も案件ごとに違いがあることなどを踏まえ、横断的な法律がなじむか否かを含めて「関係省庁と議論を交わして、必要があれば法律で対応することを含め検討を続けたい」と萩生田氏は述べた。