狙われるDNA 遺伝子検査で敵対的国家に渡る可能性 米議員が警鐘

2022/07/26
更新: 2022/07/25

検査の手軽さから、身近な存在になりつつある遺伝子検査。しかし、そこには個人情報のみならず国家安全保障の脅威につながるといった、さまざまな危険が潜んでいる。米国のジェイソン・クロウ下院議員は22日、診断データが生物兵器の製造を目論む敵対的国家に収集される可能性があると警鐘を鳴らした。

クロウ氏はアスペン・セキュリティ・フォーラムで、遺伝子検査を行う民間企業について、知的財産権やプライバシー保護が十分ではなく、「対処するための法的規制体制がない」と指摘した。遺伝子解析サービス「23andMe」を挙げ「DNA、つまり、個人の医療プロファイルを採取して、生物兵器を作り、個人を殺害したり、戦闘不能にしたりすることができる」と警告した。23andMeは日本でもサービスを提供している。

DNA検査会社によれば、専用容器に唾液を入れて、検査会社に送付するだけで体質などの遺伝的傾向を知ることができるという。

クロウ氏は敵対的国家にデータが渡ることを阻止するためにもDNA情報や医療情報の保護について、当局はより公な場面で議論を重ねる必要があると強調した。

23andMeは顧客のDNAデータを含む個人情報の販売を否定している。大紀元は、同社にコメントを求めたが、記事発表までに返答が得られなかった。

DNAデータを狙う中国企業

中国やロシア企業による遺伝子情報の収集について、米議員は懸念を表明してきた。マルコ・ルビオ上院議員とチャーリーズ・グラスレイ上院議員は2019年、米国保健省に公開書簡を宛て、米拠点の遺伝子検査企業などを通じて、遺伝子情報が中国に渡る可能性があると警告した。

2021年には、トム・コットン上院議員とマイク・ギャラガー下院議員が中国の遺伝子解析最大手の華大集団(BGI)など中国のバイオテクノロジー企業を政府のブラックリストに追加するよう政府に呼びかけた。両氏は、BGIは中国の「軍民融合」戦略の一部と指摘している。

また同年、BGIが中国軍と共同開発した出生前検査のデータを二次利用していることも判明。国家安全保障に直接関連する場合は、データを中国当局に提出する規定となっているという。ロイター通信が報じた。

同報道について、ポンペオ前国務長官は「中国が世界征服を目論んでいることを示している」と発言している。

複数の専門家は、中国共産党が特定集団を対象とした生物兵器の製造すると推測している。米中国問題専門家ゴードン・チャン氏は2020年12月、FOXニュース出演にした際、中国は産業振興政策「中国製造2025」を通じて世界のバイオテクノロジー産業の覇権を目指していると指摘した。

現在、取り沙汰されている食糧問題についても懸念する声が挙がる。上院軍事委員会ジョニ・アーンスト議員は、敵対的国家が生物兵器で食糧供給網を標的にし、米国に対して新たな戦線を開く可能性があると述べた。

「敵は生物兵器を用いて、畜産業や農業部門を狙う可能性もある」「高病原性鳥インフルエンザ、アフリカ豚熱などが敵に利用されれば、食糧不安を引き起こすだろう」

(翻訳編集・山中蓮夏)

ニューヨークを拠点とするエポック タイムズの速報記者。
関連特集: アメリカ社会