米海軍の遠征機動基地艦「ミゲル・キース号」が横浜の三菱重工において大規模修理を終えた。日韓の造船所は米軍艦艇の保守事業に関与し始めており、日米韓の安全保障協力が新たな段階へと移行した。
今回の修理には1200万ドルを投入し、作業は5か月に及び、三菱重工は約5202平方メートルの防滑甲板を飛行甲板および任務甲板に交換し、厨房、洗い場、洗濯室、居住区など計29か所の内部設備を修理・更新した。加えて、930平方メートル超の前甲板室の上部構造を整備し、船体全体の外部塗装も実施した。
「ミゲル・キース号」は全長239メートル、満載排水量10万トン超を誇り、航続距離は1万7600キロメートルを超え、遠征機動基地艦は、遠隔海域において軍事基地として機能する艦船であり、米軍は、この艦を用いて低強度の軍事衝突下で他部隊の作戦を支援する。弾薬庫、燃料庫、修理室、任務計画室、大量の乗員居住区などを備え、巨大な船体が特徴である。
また、この艦艇は他の艦船と異なり、大型の積み下ろし台を装備し、一部の区画は統合・分割によって機能の柔軟な切り替えが可能で、そのため、貨物ドックとしても運用でき、海上での大型貨物や超大型貨物の積み下ろしを実現する。
遠征海上基地艦は、多様な海域に展開できるため、海外の港や陸上の後方支援基地への依存度を大幅に低下させることができる。

韓国は初めて米軍補給艦の大規模修理サービスを完了
今年、韓国において初めて米軍艦艇の保守修理が完了した。3月12日、改修を終えた米軍補給艦「ウォリー・シエラ」がハンファオーシャン造船所から出港した。ハンファオーシャンは、6か月をかけて船体やエンジンの修理、主要設備の点検・交換、システムのアップグレードを実施し、さらに同社は、フィラデルフィアの海軍造船所を買収し、アメリカの造船業界に正式参入した。
日本と韓国の造船所が相次いで米軍艦艇の大規模修理を担った事実は、米海軍が推進中の戦略に沿っている。すなわち、同盟国の造船所を活用し、アメリカ本土の造船所に集中する負担を分散させる方針である。米軍艦艇を日本や韓国で保守することで、本国への帰還時間を短縮し、作戦任務への迅速な復帰が可能となり、その結果、アジア太平洋地域における米海軍の海上作戦能力の維持につながるという。
現在、日韓両国は、支援艦艇の保守にとどまっているが、将来的には強襲揚陸艦やバーク級駆逐艦などの主力非原子力艦艇の保守にも対応する方針である。
2024年3月、アメリカ海軍長官カルロス・デル・トロ氏が、日韓の造船所を訪問し、協力によって、米軍艦艇の修理を推進し、アメリカの造船所が新造艦の建造に専念できる体制を構築する意向を示した。
同氏は、横浜の三菱重工造船所、韓国のハンファオーシャン造船所および現代重工造船所を視察し、講演において日韓の造船企業に対し、アメリカの商業および海軍造船業への投資拡大を呼びかけた。
過去10年以上にわたり、中国は、急速に多くの軍艦を建造し、中共海軍は、世界最多の艦隊を保有するに至った。一方で、アメリカは、国内の造船能力や労働力不足によって、建造の進捗に大きな遅れを抱えた。
4月7日、アメリカ最大の軍用造船所ハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)は、韓国の現代重工と協力協定を締結し、アメリカの造船能力強化を図った。
専門家は、今回の協力によって、米軍のアジア展開における柔軟性が高まるだけでなく、日本および韓国の造船業にも新たな成長の機会をもたらすと分析中だ。
また、日米韓による軍事統合の深化は、中国海軍の拡張に対する重要な対抗策としても機能し、今後、米軍は、日本や韓国の同盟国と連携をさらに強化し、大規模修理のみならず、軍艦の建造事業も含めて、インド太平洋地域における海上戦力の増強を目指す見通しである。
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