重大事故と虚偽広告で信頼が急落する中国のEV市場に参入した同国スマホ大手・シャオミ(小米)。
シャオミが満を持して投入した初の電動車「SU7(2023年発売)」、スタイリッシュな外観とAI技術を武器に若年層から熱狂的な支持を集め、一時は「中国のテスラ」とも呼ばれた。
しかし、今年3月に発生した死亡事故をきっかけに、車両の「スマート運転」機能に対する安全性への不安が一気に噴出した。事故後、現場付近には「スマート運転禁止」の掲示が設置されるなど、世論の信頼は一気に反転した。
事故原因は調査中だが、SNS上ではすでに「危険車両」との批判が飛び交い、4月の新規受注台数は前月比55%減、5月も不振が続いている。
これに追い打ちをかけたのは“ダミー装備”をめぐる虚偽広告問題だ。
最上位モデル「SU7 Ultra」における約80万円の追加料金で選べる「カーボンファイバー製ダブルダクトフロントボンネット」は、冷却効果や空気抵抗の軽減をうたったものの、実際には風が通らない完全な“飾り”だったことが発覚。
高いだけで実際には機能しない「意味ナシ」のダミーデザインに購入者らは怒り、約400人の購入者が返金を求める騒動に発展。
虚偽広告疑惑をめぐりシャオミ側は「説明不足」と謝罪したが、世間はそう簡単には許さないようだ。
さらには、出荷時期をあえて遅らせて見せる「供給不足演出」の疑惑まで浮上。
一部のユーザーや業界関係者は、シャオミが意図的に納期を長く見積もることで人気ぶりを演出し、消費者の購入意欲を煽っているのではないかと指摘。
製品の性能や供給状況すら「演出」の一環と見なされてしまう現状に、同社のブランド価値は大きく揺らいでいる。
この事態に中国メディア「澎湃新聞」ですら「誠信の危機」と断じ、EV業界全体のモラルに警鐘を鳴らしている。
結局、技術の進化よりも先に試されるのは、企業の良心だ。
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