大相撲夏場所で大関・大の里(24歳、二所ノ関部屋)が初日から無傷の13連勝を飾り、2場所連続・通算4度目の優勝を果たした。これにより、横綱昇進の条件を満たし、「第75代横綱」の誕生が有力視されている。
大の里は夏場所13日目、同じ大関の琴桜との直接対決を制して優勝を決めた。2場所連続優勝は横綱審議委員会の推薦内規「2場所連続優勝かそれに準ずる好成績」に合致し、昇進条件をクリアした形だ。
注目すべきは、その昇進スピードである。初土俵から所要13場所での横綱昇進は、昭和以降最速。これまでの最速記録は羽黒山・照国の16場所であり、大の里はこれを上回る快挙となった。年6場所制が始まった1958年以降では、輪島の21場所を大きく更新し、学生相撲出身としては輪島以来2人目の横綱となる見通しだ。
また、新入幕から所要9場所での横綱昇進も「昭和の大横綱」大鵬の11場所を上回る最速記録となる。さらに、全場所で勝ち越し、負け越しなしでの横綱昇進となれば、年6場所制では史上初の偉業となる。
大の里は石川県津幡町出身。小学校1年生から相撲を始め、新潟・海洋高校、日本体育大学を経て、アマチュア横綱や学生横綱など数々のタイトルを獲得した。2023年夏場所で幕下10枚目格付け出し(大相撲において学生・アマチュア時代に優秀な成績を収めた力士の地位を優遇する制度)で初土俵を踏み、2024年初場所で新入幕、同年夏場所で小結として初優勝。その後も着実に勝ち星を重ね、2024年秋場所で2度目、2025年春場所で3度目の優勝を経て大関昇進、今場所で綱取りに挑戦していた。
今後は横綱審議委員会の推薦、相撲協会の番付編成会議・臨時理事会を経て、正式に横綱昇進が決まる見通しだ。日本出身横綱の誕生は、2017年初場所後に昇進した稀勢の里(現二所ノ関親方)以来8年ぶりとなる。
過去の横綱昇進記録と比較しても、大の里のスピード昇進は際立つ。貴乃花光司は初土俵から41場所、朝青龍は25場所、白鵬は38場所で横綱昇進を果たしている。大の里の新記録は、今後の相撲界に大きな刺激を与えそうだ。
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