カナダは6月29日、デジタルサービス税(DST)を撤回した。これを受けて、ホワイトハウス国家経済会議委員長のケビン・ハセット氏は30日、進行中の貿易交渉の一環として、ホワイトハウスがさらに多くの国にデジタルサービス税の撤廃を求める可能性があると述べた。ハセット氏は、このアメリカ企業に不利な税制は、世界的に撤廃される見通しだと予測している。
ハセット氏は30日、CNBCの「Squawk on the Street」に出演し、「カナダがデジタルサービス税を撤回したことを歓迎する。これにより、アメリカもカナダに対して複雑な報復措置を取る必要がなくなった」と語った。しかし、今後アメリカ企業にデジタルサービス税を課す国があれば、それは不公正な貿易行為とみなされ、アメリカの不興を買うことになるとも指摘した。
「私は、世界的にデジタルサービス税が撤廃されることを予想している。これは、現在進行中の貿易交渉の重要な部分となるだろう」と述べた。
アメリカのトランプ大統領は6月27日、カナダによるデジタルサービス税の導入を理由に、カナダとの全ての貿易交渉の打ち切りを突然発表した。6月29日、カナダは「より広範な貿易交渉」を進めるため、デジタルサービス税の撤回を発表した。
カナダ政府は、税制撤回以降、アメリカとの交渉が再開されたと表明した。カナダのカーニー首相とアメリカのトランプ大統領は、7月21日までに貿易協定を締結することを目指している。
アメリカが各国と進めている貿易交渉について、ハセット氏は「アメリカは『一連の協定』の枠組みを既に策定しており、これらの協定はトランプ大統領の『Big and Beautiful Act(大きく美しい法案)』が議会を通過した直後に成立するだろう」と述べた。
トランプ政権は、共和党が多数を占める下院と上院で、この法案の最終版をできるだけ早く可決し、7月4日までに大統領に提出することを強く望んでいる。
ハセット氏は、議会が「大きく美しい法案」を可決すれば、ホワイトハウスの執務室でマラソン式会議が開かれ、トランプ大統領と側近が各国のリストを精査し、最終的に各国に対するアメリカの関税率を決定するだろうと予測している。
デジタルサービス税とは、ある国でデジタルサービスを提供する多国籍テクノロジー企業の収益に課される税である。カナダのデジタルサービス税は6月30日に施行される予定だったが、これによりアマゾン、グーグル、Netflixなどのアメリカのテクノロジー企業は、6月末までに最大20億ドル(約2863億円)の税金を支払う必要があった。トランプ大統領はこの税制に強く反対し、アメリカのテクノロジー企業を標的にした差別的な税制だと主張していた。
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