水道水の異臭騒動で揺れる杭州市。環境汚染への市民の不信と警戒感が高まるなか、かねてから小学生の健康被害が問題視されてきて、最近になって抗議した保護者が当局により弾圧される事態に発展した。当局は形ばかりの調査で責任回避を図っているが、問題は深刻化の一途をたどっている。
浙江省杭州市の「文海第二実験学校」では、2024年9月の新校舎移転後、児童が相次いで鼻血や咽喉の異常、咳、鼻炎などの症状を訴えるようになった。これらの症状は特に新校舎に移ってから悪化し、「運動中に刺すような異臭がして、運動後には頭がふらつく」といった声も出た。
保護者たちは、校舎に隣接する工場の排気が原因ではないかと疑い、当局に調査を求めたが、杭州市当局は「工場排出は基準内」との調査結果を発表した。しかし、子供を迎えに行った際にも刺激臭を感じることがあるといい、保護者の疑念は払拭されていない。
真相究明を求めた保護者らは、7月19日に校門前で抗議を実施した。しかし杭州市当局は、大量の公安と私服警官を投入し、暴力的に排除した。複数の保護者が車両に押し込まれ、連行される異常事態となった。現場は騒然とし、「当局は汚染を隠し、声を上げる者を排除するのか」と市民の怒りと不信は一層強まっている。
杭州市では、水道水の異臭騒動も波紋を広げており、環境汚染と市民弾圧が同時進行する構図が浮き彫りになり、強権で声を封じようとする当局の対応は、かえって人々の怒りに火を注ぐ結果となっている。
(抗議した保護者が警察に連行された当時の様子、2025年7月19日、杭州市)
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