偽造大国・中国では「今度はこれか」と呆れ声が出るほど話題に事欠かない。
河南省の観光地「重渡溝(じゅうとこう)自然公園」で暴かれたのは、「大自然」と名乗りながら実態はまるごとフェイクだったという笑えない現実だ。
木の幹を覆う青々とした苔は毛糸で編まれ、枝から垂れる葉はプラスチック。訪れた観光客は「とられた入場料だけは本物だった」と皮肉を言うしかなかった。

宣伝パンフレットには「園内の95%が森林や草木に覆われている」とある。だが現実は、毛糸で作られた苔、ビニールの葉、百均でも売っていそうな造花。観光客が触れば一瞬でバレる程度の「自然」である。それをあえて「自然体験」と売りつける神経は、もはや観光業というより芸術的な詐欺ショーだ。
それでもこのインチキ公園、中国政府の観光地格付けでは最高の5Aに次ぐ4Aランクを与えられているというのだから笑うしかない。

ネット上には「森林浴しに来たのに、化学物質浴だ」「500キロ走って毛糸を見に来ただけだった」と怒りと失笑が並んだ。「地元の人は誰も行かない。カモにされるのはよそ者の観光客だけ」と冷ややかな声も飛び交っている。
結局、本物だったのは入場料と観光客の失望だけ。自然を求めて足を運んだ人々が持ち帰ったのは、清涼な空気ではなく、毛糸とプラスチックの残念な思い出だった。
徹底して偽物を並べたて、あれを堂々と「自然」と呼び切る観光地側のメンタル、正直ちょっと羨ましい。
(プラスチックの「自然公園」)
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