中国・湖南省で起きた惨劇は、現代中国の異常さを象徴している。8月25日、ドイツの高級車BMWに乗る車主が、わずか2万円余りの修理代をめぐる口論の末に殺害された。車主は修理工場に1200元(約2万5千円)の代金を支払わず、店主が催促したところ口論となり、修理工場の経営者が激高して車主を殺したのである。
(現場の様子。2025年8月25日、湖南省新化県)
常識では到底理解できない。わずか1200元で人を殺し、自らの人生も破滅させる必要などないはずだ。それでも中国では、こうした短絡的な凶行が後を絶たない。
中国の人々はこれを「戾气(リーチー)が充満しているせいだ」と表現する。リーチーとは伝統医学における「邪気」に相当し、横暴で残虐、恨みがましく極端に走る心理のこと。今の中国社会全体がその邪気に支配されているのだ。
実際、同じ湖南省では数日前、わずか20元(約400円)の麻雀の賭け金をめぐって殺人が起きた。こうした異常な「暴発」は枚挙にいとまがない。浙江省ではリフォームの騒音に腹を立てた住民が中華包丁を振り回し、火鍋店では、夫が隣席の美しい女性を見たというだけで、妻がその女性に沸騰したスープを浴びせた。広東省では高級車の運転手が追突した相手をヘルメットで殴り続け、ハルビンでは失業した男がガス管を壊して爆発を起こし、マンションを吹き飛ばした。さらに全国各地の小学校前では、児童を狙った暴走車や無差別切りつけ事件が後を絶たない。いずれも「邪気が引き起こした暴発」「社会への報復」だと人々は囁く。
しかし当局はこうした凶行を「事故」「個人的なトラブル」と矮小化し、真相を覆い隠してきた。なぜなら、人々が「なぜ邪気がここまで蔓延したのか」と問えば、その答えが共産党自身に行き着くからである。経済失速、失業、家を奪われ、ローンも返せず、補償もなく、自由に抗議もできない――この閉塞が人々を追い詰め、邪気へと変えてきたのだ。

だが人々はすでに気づき始めている。SNSの検閲を超えて海外からの声援も増え、「ファイヤーフォール(中国のネット検閲の壁)を壊せ」という運動も広がっている。無神論を強いられ、道徳を奪われ、騙され続けてきた中国人が真相を知り覚醒したとき、社会に充満した邪気は必ずや共産党自身に返ってくる。邪気を撒き散らしてきた中共が、その報いを受ける日は近い。
人々が進むべき道は、やがて自ずと見えてくる。伝統に立ち返り、失われた道徳を取り戻し、神を敬う心を取り戻すとき、人心は正気を回復する。邪気に覆われた大地にも、必ず光が差すだろう。


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